悪魔は細部に宿る 危機管理の落とし穴

綿密な技術や計画に対して「神は細部に宿る」ということわざがある。これは元々ドイツの建築家であるミース・ファン・デル・ローエが唱えたと言われており、建築物として細部までこだわったことで歴史的に有名な建築家として大成した。

しかし裏を返してみればその「細部」を大事にしないと危ない目に遭う。そのことから本書のタイトルを意味しているのではないかとも言える。

その言葉を意味していることとして危機管理や安全保障と言った非常時の管理をどうしていくのか、歴史など様々な観点から分析をしている。

第1章「東日本大震災を振り返る」
今から6年前に起こった東日本大震災では危機管理や復興に対しての邁進がうまく言っていたのかというと必ずと行ってもそうではなかった。簡単に言えば「船頭多くして船山に上る」状態に陥り、復興が遅れる原因にもなった。具体的に言うと復興のために様々な委員会をつくり、数多くのトップをつけたことが原因である。他にも福島第一原発の出来事はどのような失敗を起こしたのかを取り上げている。

第2章「危機管理の極意」
政府や国家にとって危機管理をしっかりすることは必須事項である。しかしそこにはマニュアルがあるのだが、そのマニュアルを見直したり、活かしたりすることがかかっている。そのかかっているものがマニュアルもあれば実際に起こった事件・事故の教訓もある。

第3章「日本の安全保障」
日本の安全保障は課題は山積しており、その課題を解消するために法整備も進めている。その進めている中で法整備に反対意見を言ったり、またシュプレヒコールを挙げたりするような人もいるのだが、実際に他国の脅威もある。そのような現状に対してどのように対応をして行くのか、そのことを取り上げている。

第4章「なぜ失敗の教訓を活かせないのか」
失敗を活かすことは必要になってくるのだが、その必要になる中で何を活かすのか分からない人もいれば、全く活かしていないと言うよう人もいる。その中でも後者は対策をすべきなのだが、それ以前に原因は何かを追っている。

第5章「歴史に学ぶ(幕末・明治編)」
幕末から明治にかけての時代は「激動」と呼ばれる時代であった。もっとも武士など様々な存在が否定され、なおかつ新しい政府が生まれると言う時代であり、様々な戦争が行われてたのだが、その「改革」を受け入れるか、先導するのか、あるいは抗うのか、それぞれの立場から学ぶべきことを取り上げている。

第6章「歴史に学ぶ(第二次世界大戦編)」
もう一つの「激動」がある。それが第二次世界大戦の時であるのだが、本章では日本の軍隊のみならず、ドイツの軍隊の失敗を取り上げている。

「細部」は大事にすべきで、意識することでより良いものになるのだが、裏を返すと、細部を蔑ろにすることでとんでもない悲劇を生み出すことになる。その後者にあたるのは「危機管理」や「安全保障」であるという。その罠を回避するためには綿密な計画やマニュアルなどを構成する必要がある。それ以前にはまずは本書でもって「意識」を植え付けることが必要になる。

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