ブルデュー 闘う知識人

ピエール・ブルデューは近代から現代にかけ、フランスの社会学や哲学を醸成した学者の一人であり、日本にも3度来日している。そのブルデューは2002年に没しているのだが、あれから15年の節目を迎える。資本主義にまつわる批評と議論について社会学的な観点から中心的人物となったのだが、そもそもブルデューの生涯はどうだったのか、その人生を思想の変化について取り上げている。

第一章「人間ブルデュー」
フランスの小さな地方から生まれたブルデューは農民気質でありながらも、学者としての道を志し、フランスのエリート教育を学ぶ道へと進み始めた。そこで学んだのは当初、哲学であり、哲学者となっていったのだが、一兵卒として徴兵を受けてからは社会学へとシフトしていき、「ブルデュー学派」を誕生させるに至った。

第二章「知識人ブルデュー」
「知識人」とはいったい何かというと「知識・教養がある人」と直訳すれば簡単なのだが、実際にそれが誕生したのは1894年に起こった「ドレフュス事件」である。この事件をきっかけに偽証を弾劾したり、批判したりする人を「知識人」と呼ばれるようになった。主に作家や学者などがそれにあたるのだが、その知識人としてブルデューはどのような議論を起こしたり、批判したりしたのかを取り上げている。

第三章「同時代知識人に対する評価」
ブルデューのライバルとして上がるのが、フランスにおける現代哲学の大物であったジャック・デリダである。そのデリダとの論争はどのような物だったのか、その他にもハーバーマスとも論争を行ったのだが、同世代の知識人とどのように関わったのかを論じている。

第四章「社会学者ブルデュー」
社会学者へと転向し、社会学においてどのように行っていったのか、ブルデューが社会学の論壇において、どのように影響を与えたのか、そのことを取り上げている。

第五章「ブルデュー社会学の理論的骨格」
ブルデューにおける社会学理論はどのようにして構成していったのか、そして資本主義の理論の中に一石を投じたことなどについて取り上げているのが本章である。

社会学や哲学を学ばないと知ることのないピエール・ブルデューであるのだが、フランスの哲学・社会学において、どのような影響を与えたのか、そしてその生涯はフランスの論壇の中でどのような役割を担っていったのかがよく知ることが出来る一冊である。