ぼくらが漁師だったころ

「漁師」の世界は過酷である。漁師の知り合いについて1人か2人はいるのだが、口々揃えてあまり薦められないと回答があった。もっとも漁師の仕事は海などを相手にする仕事であり、なおかつ最近では漁獲高が減り、なかなか収益も恵まれず「がんばっても報われない」と言うような世界である。

これは日本に限った話なのかというと、少し異なる。本書のようにナイジェリアを部隊しても状況は過酷であった。その過酷さの本質は日本のそれとは大きく異なるのだが。その過酷さというのはまず本書の主人公はわずか9歳の年端もいかない少年であること。そして4人兄弟が生きるために漁師の仕事を行っていること、そして家族が崩壊し、子どもでは到底受け入れることのできない事件が起こることが挙げられる。

本書を読んでいるとつくづく自分自身は恵まれているのだなと言うことがひしひしと伝わってくるし、なおかつ人間はここまで過酷な状況に置かれたときにこう生き抜くといった教訓になること、何よりも人の絆の強さがありありと示されていたことに他ならなかった。