ドキュメント 豪雨災害――そのとき人は何を見るか

今年も昨年も台風をはじめとした豪雨が起こり、甚大な被害を受けたところもある。私の故郷である北海道も昨年は甚大な被害を受け、特にジャガイモなどの農産物に深刻な打撃を与え、実際にポテトチップスの生産が減少するといった話もあった。

豪雨はほぼ毎年のように起こっているのだが、本書は実際に豪雨を襲った2つの町村をケースに出しつつ、もしも首都で豪雨被害が起こったらどのようになるのか、そのことをシミュレーションしている。

第一章「深層崩壊する山々―奈良県十津川村―」
2012年の9月に台風12号が日本を襲ったのだが、その中でも深刻な被害を受けたのが本章で紹介する奈良県十津川村である。このときは集中豪雨が襲い、村の名前にもなった「十津川」が氾濫し、5人の人が亡くなった。一連のことについて「紀伊半島豪雨」とも呼ばれるようになった。その豪雨に対して復旧や復興に向けてどのような動きがあったのか、そして赤谷と呼ばれた斜面で深層崩壊が起こった要因も併せて取り上げている。

第二章「那智谷を襲った悲劇―和歌山県那智勝浦町―」
第一章と同じく台風12号(紀伊半島豪雨)によって那智勝浦町の中にある那智谷もまた深刻な被害を受けた。もっとも那智谷は集落の一つであり、雨も多い地域であったのだが、今までにない豪雨が襲い、さらに那智谷こが「死角」と呼ばれたために、救助も遅れ、25人もの人が亡くなったこととなった。

第三章「首都水没への警告」
首都圏もまた年に1~2回ほど台風に接近したり、上陸したりすることがある。その中で雨・風といった猛威を振るうことがあるのだが、最近では台風に限らずゲリラ豪雨による水害も存在する。もっとも首都圏の中でも河川が氾濫した水害が起こるようなこともあった。

毎年のように起こる台風や豪雨、今シーズンはもうなくなったのだが、来年以降もまた起こりうると言ってもおかしくない。その際に水害の対策、さらには減災をどうしたら良いのか、自治体や国だけでなく、個人での対策も考えるきっかけとなる一冊である。