春夏秋冬 江戸っ子の知恵

江戸時代には様々な風情や知恵があったという。もっともしつけにしても、知恵にしても日本ならではのものがあり、現代の日本にも参考になる要素がある。もちろん江戸文化に対する批判は数多くあるのだが、参考になる箇所も少なくない。本書は四季折々の江戸時代における知恵の数々を伝授している。

第一章「世界最大の都市」
今でこそ東京は世界最大の都市の一つとしてあげられているのだが、江戸時代もまた世界最大の都市の一つであった。明治維新を経たときいったん大阪に最大を禅譲することがあったのだが(当時大阪は「大大阪」とも呼ばれた)、その後東京が最大の都市となった。
もっとも江戸時代において世界最大の都市となり得たことお、そしてそこで育まれてきた江戸情緒や江戸っ子の性質について取り上げている。

第二章「底なしの胃袋」
「食」を表しているのだが、江戸よりもむしろ大坂(現在の大阪)のことを表しているのではないかとも思ってしまう。元々食い倒れの街は大坂時代に「天下の台所」とも呼ばれ食が数多く流通していたことがあるのだが、それは「将軍のお膝元」であった江戸も負けてはいなかった。「江戸前寿司」や「鰻の蒲焼き」「蕎麦」など今も残っているものが江戸時代において築き上げてきた。

第三章「四季の情景」
江戸にも「四季」の情景が存在した。俳句にも「季語」がありその季語が生まれた要因も江戸時代の四季折々の情景があったことにある。お花見や梅の花、さらにお祭りや名月など四季にまつわることが江戸時代において育まれてきた。

第四章「百万人の素顔」
もちろん江戸時代は何と言っても「粋(「すい」。「いき」とも言う)」の文化でもある。人にしても芸術にしても粋な生き方・文化が江戸時代において誕生し、広まっていくようになった。

第五章「現代に生きる、現代に生かす」
その江戸文化はもちろん悪いところ、参考にならないところは存在する。さらに全て美化するつもりもない。しかしながら良いところも中にはある。もっとも江戸文化そのものにも歴史が存在するためその灯を消さないためにという意味合いも持っている。

江戸文化は今もなお現在の日本に根付いている部分もあるのだが、中には廃れてしまった良いものも存在する。それだけに今一度良くも悪くも江戸文化を見直しながら良いところを吸収していくことも一つなのではないかと本書を読んでいって思った。