一茶の相続争い――北国街道柏原宿訴訟始末

「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」

小林一茶(本名:小林弥太郎)は百姓でありながら、俳諧師として江戸時代の文化を彩った人物の一人として今日も名を馳せている。

しかしこの一茶はある「争い」に巻き込まれていた。もっともそういったエピソードが語られることはほとんどなく、本書のように深く述べられた本はなかった。本書は語られることがほとんどなかったある「争い」について取り上げるとともに、その顛末を記している。

第一章「柏原村百姓弥太郎執念の家産分割相続」
その「争い」とは一茶が江戸から郷里である柏原村に移住したときに一茶の弟との間に収入と利息を巡って争ったことで訴訟となったのである。

第二章「北国街道柏原宿」
「北国街道」は日本で言う所の「北陸」に通ずる道であり、新潟県など日本海側を表している。そこの柏原宿(現在で言うところの長野県上水内郡信濃町大字柏原)で生まれ、江戸から戻るところもまた柏原宿に移住した。

第三章「宿存亡をかけた訴訟に勝つ」
その宿でもまた一茶が関わったこと以外にも訴訟が発生しており、宿自体がなくなる危険性があった。そういった危険性のあった訴訟とは何か、そしてその顛末はどうなったのかを記している。

第四章「繁栄する柏原宿と不運に見舞われる一茶」
訴訟を乗り越えて柏原宿は繁栄の一途を辿っていったのだが、度重なる訴訟の疲れかどうかは不明だが、様々な不運に見舞われることがあった。その中には家族の不幸もあった。

小林一茶の句は今も語り継がれている一方で一茶の生涯と訴訟に巻き込まれた過去はそれ程知られていなかった。そのため一茶の「負」と呼ばれた側面が初めて深い次元で知ることができた一冊と言っても過言ではない。

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