靖国の軍馬

靖國神社には数多くの戦死者が合祀されている。そのことを巡っての議論は絶えないのだが、祀られているのは何も人ばかりではない。軍馬もまた合祀されているのだという。その軍馬はどれくらい祀られ、なおかつどのような馬が祀られたのか、そのことを取り上げている。

第一章「靖國神社の軍馬慰霊像」
靖國神社に馬が祀られていることはあまり知られていない。それもそのはずであり、理由としては公にされておらず、なおかつ神社の近くに「軍馬慰霊像」なるものがぽつんとあるだけであった。

第二章「国民の歌・国民映画と軍馬」
日中戦争や大東亜戦争などで使われた軍馬はもちろんのこと、軍馬が扱われた映画や軍歌は数多くある。その中でも選りすぐりをして、主立った歌や映画などを取り上げている。

第三章「天皇の馬」
天皇家と馬はかつては縁遠かったのだが、明治時代に入ってから3代にわたって馬を使うようなことがあった。明治・大正・昭和それぞれの天皇が軍服で馬に跨がる写真があるという。なぜ馬に跨がるのか、そして歴代天皇が使った馬はどのような馬かを取り上げている

第四章「輜重(しちょう)輸卒が兵隊ならば、蝶々トンボも鳥のうち」
そもそも「輜重兵(しちょうへい)」は陸軍の後方支援の役割を担っており、

「輜重輸卒が兵隊ならば 蝶々トンボも鳥のうち 焼いた魚が泳ぎだし 絵に描くダルマにゃ手足出て 電信柱に花が咲く」

と蔑まれることがあった。その兵士は軍で重要視されるような服や兵糧、武器などを扱い、運搬をすることがその輜重兵もまた馬を使う。使う馬について取り上げているのが本章である。

第五章「テンノウサマの馬が泣いている」
それぞれの馬にも「愛馬」であったり、名前がつけられたり、「~号」と呼ばれたりすることがある。その馬の悲哀について取り上げているのが本章である。

第六章「前線の軍馬はどう記録されたか」
前線で戦っていたのは兵隊ばかりでなく、軍馬もいた。その軍馬とともに戦った記録について綴っている。

第七章「世界戦争史、最後の騎兵戦「老河口(ろうかこう)作戦」」
今度は世界に広げてみると馬を使った、いわゆる騎兵戦があったのだが、現在となっては銃や戦車、戦闘機もあるためほとんど使われなくなった。もっとも騎兵戦は最近では行われなくなり、「老河口作戦」以降は一切行われなくなった。

軍馬はもはや戦争の近代化に伴い、なくなってしまったとも言えるが、その名残として軍馬は戦争の道具の一つとしてあったと言える。その記録が本書にあり、なおかつ戦争で散った馬たちは今もなお靖國神社にて祀られている。