窓から見える最初のもの

窓には様々な風景を映し出すことができる。その風景には何が映っているのかによって印象が変わってくる。

本書はとある心療内科に通う人びとのことを描いているのだが、その中には短大生・大学生の2人をはじめ、様々な人物がいるのだが、そんお周囲の人物を巡り、ある行方不明事件が起こる。行方不明となった人物とは何か、事件とは何か、その事件の引き金となった動機とは何か、トリックは何かなどを物静かな物語の中でうごめいている。

日常のほのぼのとした風景の中で織りなすミステリーが描かれているのだが、ミステリーならではの緊張感もありながら、心療内科を舞台にしていることだけあり、ほのぼのの中にある心の闇がここにある。その「闇」が見えるのが「窓」と言えるのかも知れない。淡谷のり子の「別れのブルース」にある最初の一節を思い出してしまうのだが、開けてみればどのような風景が浮かんでくるのか、それぞれの人物だけあると言える。

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