発達障害を仕事に活かす

「コンプレックスは武器になる」

その言葉を周囲の人から聞いたことがあるのだが、私自身あまりピンとこない。もっともコンプレックスというとネガティブなイメージを持ってしまうのだが、実際にはネガティブと思っているだけで、心や捉え方によって武器に転ずることができるようになる。もちろんそれは「発達障害」も例外ではない。「障害」というだけあり、コンプレックス以上にネガティブなイメージを持ってしまうのだが、それを武器として活かすことのできた方も少なくない。その実例と武器として活かす方法を伝授しているのが本書である。

Ⅰ.「発達障害とはなにか―その職業適性について」
そもそも「発達障害」とは、

「心理的機能の発達が滞った状態。知的障害・自閉症など」「大辞林 第三版」より)

とある。そもそも発達は人それぞれであり、通常よりも飛び抜けて進化するところもある所があれば、なかなか進化せず、「障害」と思われがちになるほど伸び悩むケースもある。社会人になってからはそれが仕事において障害となる人もいる。もっともそれがコンプレックスとなり、仕事に集中できず、落ちぶれたり、最悪失職したりするようなことにもなりかねない。さらに言うと「発達障害」は子供の頃からずっとなっているわけではなく、大人になって人に、さらには社会になじめず初めて「発達障害」になるという人もいる。

Ⅱ.「発達アンバランス症候群の活かし方とその背景」
もっとも発達障害は進化の面でアンバランスさが顕著に表れるようなことで出てくるものである。もっともアンバランスの特徴によって適正や不適正がもろに表れる。もっともその発達アンバランス症候群をいかにして武器にして、様々な面で活躍していくのか、その特徴を活かした「専門家」や「教育者」に就くといった人もいる。他にも職業によって症候群と相性の良し悪しもあるという。その背景も含めて論じている。

Ⅲ.「最新知見に基づく発達アンバランス症候群の原因と対処法」
発達アンバランス症候群が表れる理由には脳機能の不全があるのだが、そもそもその要因にも様々なものがある。一つに遺伝、一つに環境、そしてもう一つには社会心理的なものがある。もちろん要因によって治療法も異なるのだが、共通してできる治療法も数多くある。その治療は本当の意味で治療もあればトレーニングもある。

発達障害は色々と見てみると種類は数多くあり、実態を完全に把握するのは不可能に近いくらい多岐にわたる。しかしそれを直すことも手段であるのだが、発達障害によってもたらされる恩恵をフルに活かすこともまた一つの手段である。その手段の選択肢を知り、実践することのできる一冊が本書と言える。