告発 児童相談所が子供を殺す

子供のセーフティーネットとしてある児童相談所、しかしその児童相談所が子供を殺す助けとなっている現実を本書でもって暴露している。衝撃的であるのだが、実際に児童相談所はなぜ虐待のセーフティネットとなり得ないのか、そこには児童相談所の「内情」があった。

第1章「なぜ虐待死は防げなかったのか」
本章で取り上げる虐待事件は神奈川県相模原市で起こった事件を取り上げている。その事件は児童相談所にも何度も相談が行われ、SOSを発したにもかかわらず、無視され続けてきた。もちろん措置を施したのだが、十分とは言えず、その十分と言えない対応が子供を追い詰め自殺に追い込まれるというものであった。しかもその事件の後、担当にあたった児童福祉司の会見は言い訳ばかりであり、著者も怒りを覚え、本書を上梓するに至ったきっけにもなった。

第2章「児童相談所とは何か」
児童相談所への虐待相談は年々増加しており、東京都の調査でも平成15年から平成26年までの11年間で3倍超にまで増えてきている。そもそもそれに限らず児童相談所は子供のことであれば何でも相談に乗ってくれる、いわゆる「何でも屋」の役割を担っている。しかも対応する児童も多くなり、事柄も複雑になることから第4章にもあるような力量不足の引き金ともなっている。

第3章「なぜ虐待はなくならないのか―虐待の「強制終了」」
虐待相談は本人のみならず、学校などの関係機関からの通告で相談が始まるケースも少なくない。それらの相談を鑑み、会議が行われ処置が施されるようになるのだが、そもそも処置の多くは「助言」だけにとどまってしまうケースが多く、実質的な野放しになるようなことが多々ある。

第4章「なぜ虐待はなくならないのか―力量不足の児童福祉司たち」
児童相談の多くは個々の児童福祉司の裁量が大きい。もちろん福祉司の中には細やかな措置を行う人も言れば、中には助言だけですぐに終わってしまうような福祉司もいる。小さな相談だけでもその背景には大きな事件がはらんでいる。児童福祉司の裁量が関わることから、力量が大きく試される。しかし悲しきかな力量不足によって相談が蔑ろにされてしまうケースもあるという。

第5章「なぜ虐待はなくならないのか―児童養護施設に入れても続く問題」
虐待における児童相談によっては「児童養護施設」と呼ばれる施設に入所をするケースも少なくない。しかしその施設に入所をするにあたり、福祉司と両親との諍いも多々あるという。

第6章「児童相談所が虐待をなくせない理由」
児童相談所によって虐待をなくすことが出来るのかというと、なかなかできないことが多い。もっともそれを見過ごすようなケースも前章まであるように多々あるという。その理由としては様々なものがあるのだが、前章までの理由も関わってくる。

第7章「なぜ虐待は起きるのか」
根源的な問題に入ってくるのだが、なぜ虐待が起きるのか、そこには親たちの心理によるものかも知れない。説教や愛の鞭というよりもむしろ「はけ口」と呼ばれるような暴力として意図せず扱っているケースもあるという。

第8章「どうしたら虐待はなくなるのか」
虐待をなくすために専門機関を設置したり、虐待の措置を行う班をつくったりすることで解決に導くことができるという。

第9章「子どもと関わる上で重要な六つのこと」
児童相談所は「最後の砦」である。そうであるが故に重要なことを持っておく必要があるという。

児童相談所に相談する件数が増えていることも一因かもしれないがそもそも児童相談所を改善するためには何をしたら良いのかと言う提言がなかったのが残念である。しかしながらその告発を通じて児童相談所はどう変わるべきか、それを考えるきっかけとなる一冊となり得る。

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