室町時代は足利の時代であった一方で、歴史の中では南北朝の影がつきまとっている。しかも征夷大将軍として足利家が天皇家の庇護を行う宿命を背負うこととなった。その背負うこととなった足利家はどのような室町時代の歴史を辿っていったのか、そのことを取り上げている。
第一部「南北朝期の足利将軍家と北朝天皇家」
初代将軍の足利尊氏から三代将軍の足利義満までの間は室町時代の中でも南北朝時代とも呼ばれていた。室町時代前にも「両統迭立」とも呼ばれるいびつな皇位継承とその周囲の対立が起こっており、それが表面化したことで南北朝が生まれたとも言われている。
第二部「足利義持と北朝天皇家」
南北朝時代はおおよそ60年続き、第一部にもあったように三代将軍の足利義満の時代にて終焉を迎えることとなった。その義満の時代から、四代将軍の足利義持の時代において天皇家、とりわけ「北朝天皇家」との関わりはどのようであったのかを論じている。
第三部「足利義政と北朝天皇家」
時代は流れ八代将軍足利義政の時代では北朝天皇家はどのような関わり合いがあったのか、とりわけ天皇家の中の伏見宮家との関わりを中心に取り上げている。
第四部「室町期公武関係の成立要因」
室町時代において公家と武家との関係にも変化があった。しかし後者の発言力が増し、さらには応仁の乱と呼ばれる出来事で幕府の威厳が急速に低下、戦国時代へと発展して行くに至った。
室町時代における将軍と、天皇との関わりは深く、鎌倉時代、江戸時代に比べても特筆するものがある。もっとも対立を引き起こし、さらには融和など様々な歴史を辿っていった。その経緯が本書にて記されている。