忘れてはいけないことを、書きつけました。

日常生活を送っていく中で「忘れる」ことは色々とある。しかしその「忘れる」と言う機能は不便で、どうでもいいことを忘れられず、肝心なことを忘れてしまうのだから始末が悪い。しかしその忘れることを助長したり、あるいはそれらを未然に防ぐために、文章にしてしたためると言うこともまた忘れるため、もしくは記憶に残すための一手段としてある。

著者もまたその「忘れる」ことを避けるために、春夏秋冬の折々の事柄から、料理に至るまでのことをエッセイとしてしたためているのかも知れない。著者自身でしか体験できないこと、料理などの「日常」が垣間見ることができる。もっともその「日常」は著者にとっては当たり前なのかも知れないのだが、人によって当たり前ではないような事柄であるため、新鮮味があるとも言える。もしも自分自身がエッセイとしてしたためるとしたらどのような日常を描くのかと言うことを考える良いきっかけとなった一冊であった。