アメリカ最後の実験

軍事的な小説なのかと思いきや、本書の表紙にもある通り「音楽」を中心とした小説である。その音楽をアメリカを舞台にして「実験」を行うというものである。

その実験は殺人が起こる「ミステリー」であり、その事件の中で取り巻く3人の人物、その背景には「音楽」があるというものである。

「音楽」のつながりであれば良いのだが、それ以外のつながりはどうなのかと言うと、家族ではあるのだが、「荒廃」と言う言葉がよく似合うほど荒んでいた。もっと言うと音楽でつながっていなければギクシャクしていたと言っても過言ではない。

音楽は尊いものであるのだが、その尊い音楽は人とのつながりのある種「首の皮一枚」と言う言葉に似合うのかもしれない。その首の皮一枚が離れた瞬間をある意味で実験しているような物語だったように思えてならなかった。