世事は煙の如し 中短篇傑作選

本書のタイトルの一部である「世事」とは、

「1.世の中の事。処世の事。
 2.僧が、通常の食事以外にとる食事。
 3.世帯のこと。家事。また、食事。」(「広辞苑 第七版」より)

とある。食事という意味合いが多いのだが、実際には「家族」や「世帯」といったものがあり、男女の関係を表している。男と女の関係は全く関係ないように見えて恋人同士や夫婦など、紐解いていくと色々とある。

本書は男女関係を基軸にした短編集であるのだが、男女関係を「世事」と喩え、一生がまるで一瞬であるのだが、その一瞬は男女関係の構築・崩壊も一瞬である。もっと言うと一生の中でも短いことから「煙の如し」として喩えているのかも知れない。

本書は中国から生まれた短編集であるのだが、中国の文化も盛り込まれている反面、男女関係の本質と、人間としての「業(ごう)」が描かれており、人間としての真理をえぐっているようでいてならなかった。