怪談のテープ起こし

何度か知り合いに頼まれて講演や打ち合わせなどのテープ起こしを行ったことがあるのだが、聞いた内容を文字にすると言った単純作業がテープ起こしである。しかし本書のタイトルを見ると「やりたくない」と思ってしまうようなものである。

本書はおどろおどろしいような怪談をいくつか収録している短編集であるのだが、一つ一つの物語に怖いところが散りばめられており、背筋が寒くなるような感情に陥ってしまう。

実際にその物語を稲川淳二のような語り手で話されて、それを聞くとなると気が引けるというか、自分自身が実際に聞いてみると夜も眠れなくなってしまう。

文字だけであるが故に、怖さは思っているほどではないものの、先述の通り、文字だけでも背筋が寒くなるのだから、それが声となったらどうなるのか、本当のところわからない、いや想像したくないほどであった。