ぼくらの村からポリオが消えた

「ポリオ」とは正式には「急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)」と呼ばれ、通称は「小児麻痺」としても挙げられる。また英訳すると「ポリオマイアライティス」という。それが略されて「ポリオ」と呼ばれている。日本では現時点では罹患者はごくわずかではあるのだが、ポリオワクチンを巡った動きについては神奈川県を中心に2010年代前半にあった(国産不活化ワクチンの動きであり、国の承認に先立って神奈川県が先立って配るという話である)。

前置きが長くなってしまったのだが、本書では中国におけるポリオの発症を食い止めるという動きについて取り上げている。

第1章「山東省からの出発」
世界的にもポリオを根絶に向けた動きを見せているのだが、なぜ中国なのか、そして山東省へなのか、その背景には冷戦が終結したちょうどその時期、同時に第二次天安門事件が起こった時期に、中国各地でポリオ患者が急増したことにあった。そのためポリオワクチンを得て、ポリオを撲滅する動きを見せるようになった。そのために日本の助けを請い、日本の専門家が中国の山東省にやってきたというのである。

第2章「北方5省での本格展開と実験室診断ネットワークの構築」
その山東省からポリオワクチンを取り入れ、山東省をはじめとした北方5省に住む方々に投与して、どこまでポリオを減らすことができるのかを実際に行動したことを挙げている。

第3章「北方5省の成果とハイリスク南方5省へ」
その成果は確実にあったのだが、それと同時に課題もあった。その課題をもって南方5省の接種に向けて何が必要なのか、ポリオワクチンを撲滅していくのか、それを取り上げている。

第4章「国境を越えて侵入するポリオウイルス」
ポリオウイルスは国内外を越えて、それもものすごい勢いで広がっていった。その背景にはミャンマーやベトナム、パキスタン、北朝鮮など、様々な国境を越えて、ウイルスの経路が広がっていった。その原因を探っているのが本章である。

第5章「なぜポリオを撲滅できたのか?」
ポリオ患者を撲滅することができたというのだが、そもそもなぜ撲滅できたのか、そこには教訓や中国のお国事情がったという。

ポリオを撲滅の動きは世界的にもあるのだが、日本ではポリオワクチンの開発が進められており、世界的なポリオ撲滅に向けた貢献を行っている。その貢献の一つとして中国のポリオ撲滅があったのだが、その足跡を知ることができる。