ライトノベル史入門  『ドラゴンマガジン』創刊物語―狼煙を上げた先駆者たち

今となっては当たり前のようにあるライトノベルだが、その走りをつくったのはドラゴンマガジンと言ってもいいほど過言ではない。それ以前にもライトノベルが存在したのだが、現在のようになったのは1988年に「ドラゴンマガジン」が創刊されたことにある。「ロードス島戦記」から「スレイヤーズ」など多くのライトノベルを生み出し、今日のライトノベルをつくり出した。そもそもなぜ「ドラゴンマガジン」がつくられ、ライトノベルをつくり出していったのか、その経緯を取り上げているのが本書である。

第1章「『ドラゴンマガジン』創刊前後の状況」
ドラゴンマガジン創刊以前にもあるのだが、誕生自体は諸説ある。1975年に創刊されたソノラマ文庫であること、ライトノベル作家として何人かデビューした1977年などもある。しかしそれらは、あまり認知されておらず、広がりもほとんどなかった。しかしドラゴンマガジンは今までになかった「ライトノベル雑誌」として創刊された。

第2章「創刊を手がけた編集者たち」
そもそもなぜ「ライトノベル雑誌」をつくり出したのか、その背景として今もライトノベル文庫としてある「富士見ファンタジア文庫」があるのだが、それに先駆けての創刊となった。その背景として当時の編集者たちが明かしている。

第3章「創刊号の誌面を飾った作家たち」
創刊当時は第1章でも取り上げたソノラマ文庫の作家も中にはいたのだが、他にも「ファンタジア長編小説大賞(現:ファンタジア大賞)」という作家発掘の選考を行い、今日でも活躍する作家を生み出し、さらに作品も生み出していった。その作家たちをインタビューしている。

第4章「『ドラゴンマガジン』が育んできたもの
ドラゴンマガジンは編集者・読者・作家が交差し、作品・作家を育ませていったとも知られている。そのひとつとして、読者投稿ページの「ガメル連邦」があり、担当者や作家のインタビューを取り上げている。

第5章「“ビジュアル・エンターテインメント”の誕生と展開」
ラゴンマガジンに収録されたライトノベルはアニメやマンガ化などメディアミックス展開をしていった作品が数多く存在する。ドラゴンマガジンには現在あるライトノベルからのメディアミックスの原型をつくり、育んでいった。と同時に、ライトノベル文化を広めたと言うものがある。

今でこそあるライトノベルやメディアミックスなどはドラゴンマガジンから生まれたと言っても過言ではない。そのドラゴンマガジンは月刊誌であるのだが、創刊30周年を迎えた時から隔月となり縮小はしつつもあるのだが、今もなおライトノベルの最前線を歩んでいる。その足跡が本書でもってわかる。