ラヴェルスタイン

世界的に有名な学者から主人公に対して「回想録」を頼まれる事となった。その回想録を執筆する際に取材をするようになったのだが、その取材の中で学者は何を語るのか、そこには記憶とは何か、人種とは何か、そして生と死とは何かについてが問われていた。

そもそも本書の著者であるソール・ベローは今から13年前にあたる2005年に逝去した。その著者の描く小説の多くは心理描写が卓越しており、とりわけデビュー当初は戦争の兵士たちの心理を克明に描くことがあったという。その心理描写によって1976年にノーベル文学賞を受賞した。

本書は冒頭にもあったとおり「人種」や「生と死」の描写を描いている。そのためか、著者自身の「死」を意識しているような節さえ見受けられる。自身自身も家族の不幸があったせいか、自分自身も生と死とは何かを常々考えるのだが、それを考える糧となるような物語であった。