本屋さんで本当にあった心温まる物語

私は子供の頃から本が好きだった。小さい頃から何度も書店に通うことが多かった。
その時私がよく通っていた書店は旭川市の三条買物公園通り沿いにある「富貴堂書店本店」と、今は複合商業施設となった「マルカツ」の「富貴堂MEGA」だった。小学校の時にはマンガや雑誌を買いに、中学・高校と参考書を買いに通うことが多かったのだが、それとともに色々な本に出逢い、買ったことも今も覚えている。自分自身心温まるようなエピソードは無いのだが、それだけ本屋に通うことが好きだった。

しかし私が足繁く通っていた書店は、もう存在しない。大型書店の進出や売り上げの伸び悩みにより閉店してしまったそうである。私が進学や就職のために旭川から離れた後の話である。

本書の話に移る。普段足繁く通う書店の中には様々なエピソードが詰まっている。その中でも思わず胸や目頭が熱くなるような感動、もしくは本書のタイトルにあるような心温まるエピソードもある。本書はその中から「心温まる」物語を28個紹介している。
なお、当ブログではその中から印象に残った物語5本紹介する。

Story1「一冊の『ジャンプ』」
東北のみならず、日本でも忘れることのない日―
2011年3月11日は東日本大震災が起こった日である。
あれから2年、復興への道程はまだ険しいが着実に一歩ずつ進んでいる。
その震災が起こり、多くの書店が店舗を失うなど甚大な被害を受けた。ここからのあらましは「復興の書店」で紹介している通りだが、ここでは震災直後の本屋のエピソードを紹介している。辛うじて店は存続できたが、物資が届かない状態が続いた。それでも子どもたちの喜ぶ顔を見せるために働いた善意がやがて笑顔の輪になり、復興への大きな足がかりとなった。

Story5「運命の辞書」
外国人が日本の文化に触れることがあまりなかったのだが、その文化に触れたことにより、日本に強い興味を持ち、日本と関わる仕事を希望する外国人も少なくない。
ここで紹介される方も、日本のアニメに触れ、そこから運命の辞書と出会ったそうである。その辞書は「日本語の辞書」とだけ言った方が良いだろう。
その辞書がきっかけとなり、日本語の勉強をし、現在は日本で仕事をしている。

Story15「激励メッセージ入りブックカバー」
ブックカバーには書店そのものの色が詰まっている。
しかしここで紹介されるブックカバーは作家直筆の激励メッセージが入ったものである。現在も販売されているかどうか不明だが、そのブックカバーの売り上げの一部は東日本大震災の義援金として寄付されたという。

Story18「街から書店が消えた!」
日本の全市町村のうち約1割の市町村には書店が1店もないという。北海道留萌市もかつてその市町村の一つであったが、市民が立ち上がり、書店の誘致に成功したという物語である。
留萌市以外にも書店がない市町村はまだ存在する。留萌で起こった奇跡は他の市町村にも伝わればと思えてならない。

Story27「真夜中の書店」
私が行く本屋には真夜中まで開いている本屋は存在しない。ニュースで24時間営業を行っている本屋を聞いたことがあるくらいである。ここでは深夜まで営業している本屋と新米サラリーマンの物語を紹介している。

本屋は不思議な世界であり、宝箱である。出版業界は厳しい状況にありながらも、その本屋は様々な思いと本を胸に今日まで続いている。そしてこれからもまた本屋で新しい物語が生まれてくる。
本屋はただ本を置いている場所ではない。そこには書店員がいてお客がいて、そしてそれらが紡ぐ物語がある場所である。