アベノミクスの真実

昨年12月の衆議院総選挙で、自民党が3年3ヶ月ぶりに与党に返り咲いた。その時をきっかけに、これまで伸び悩んでいた株価が一気に上昇し、かつ「超円高状態」にあった円相場も急速に円安となった。これらを含め首相主導の下、デフレ脱却に向けた経済政策が動き出した。俗にいう「アベノミクス」である。

しかし経済政策など、様々な政策を実行するたびに、賛否両論が巻き起こる。「アベノミクス」も例外ではなく、賛同・批判双方のコラムや書籍が乱舞するようになった。
本書は賛同、というよりもその実行者の立場から「アベノミクス」のメカニズムについて解説している。
安部首相主導の下実行しているだけあり、首相の公認までついている。

第一章「これがアベノミクスの真髄だ」
アベノミクスの真髄の一つとして「通貨」の価値の見直し、「実感なき好景気(別名:戦後最長の好景気)」の反省点からえたもの、さらに語源となった「レーガノミクス(レーガン大統領一期目に実施した経済政策のこと)」との類似・相違点について解説を行っている。

第二章「なぜ日本はデフレ国家になったか」
「二番底」と呼ばれるような不況の時に、いわゆる「デフレ」の状態に陥った。では「デフレ」はいかにして陥り、かつ民主党政権でそこから脱却することができなかったのか。
その大きな原因は「金融緩和」である。やるかやらないか、というよりも「程度」の相違によって効果をもたらしたり、もたらさなかったりする。
就任当時から金融は回復しつつあったのだが、それを本格的に動かしたのが今年1月22日の政府・日銀の共同声明だった。

第三章「アベノミクス批判に応える」
「アベノミクス」に関する称賛、批判に関するコラムや書籍が乱舞しているが、その中でも「批判」の論調について反論を本章にて行っている。
「年金生活者が困る」「格差の助長」「国際の暴落」「富裕層だけが恩恵を受ける」というような論調がメインである。

第四章「私が見てきた社会主義経済」
著者は日本大使館の勤務のため一時期ソ連に滞在した時期があった。そこでもっとも気付いたところとして「統一通貨」と「社会主義から市場主義へのシフト」がキーワードである。前者は「ユーロ」、後者は中華人民共和国が有名であるが、本章はその事も言及している。

第五章「豊かな社会を目指して」
「アベノミクス」の名の下で、経済・外交など様々な角度から「攻め」に転じている。デフレの状態から経済は停滞し、そこから回復に転じているがそれだけでは日本、もしくは日本人は豊かにならない。ビジネスやインフラ、資源なども生産することによって他国とたいとう、もしくは自国だけでも生産・成長することができる。日本にはまだ「伸びシロ」は存在する。

ニュースでは「アベノミクス」にまつわるものが毎日のように議論されており、国際的にも取り上げられていることも多い。しかし日はまた昇り始めるのか、沈んだままになるのか、それはこれからの政治に注視するだけではなく、私たちもできることから始める必要がある。政府主導の経済政策はあくまで輔弼する存在である。本書は、その輔弼する仕組みを知ることで、私たちの生活と日本のために活かすための解説書である。