裸にされた花嫁

本書は小説なのだが、フィクションかノンフィクションなのかは分からない。ましてや本書の著者は匿名希望であるのだが、本書を書き上げる時に失踪してしまっている状態である。もちろん現在は存命なのか、それとも亡くなられたのか全く分からない。

本書はイギリスの郊外にすんでいるとある夫婦の結婚生活、生事情について赤裸々に描いている。レッスン毎に章立てが分かれているのだが、ある種の「日記」と呼べる様な内容のように思えてならない。しかし「ノンフィクション作品」と言われても遜色なく、官能小説のようにディープな恋愛を描いているわけではないのだが、あっさりした濡れ場の中でも官能なシーンは十分に想像することができるだけではなく、ヴァリエーションが豊富にあることから、恋愛小説や夫婦愛小説なのだけれども、官能小説のような気がしてならない。

本書の最後にある「訳者あとがき」には「匿名作者」の正体が暴かれている。といってもイギリスの新聞が既にすっぱ抜いたものをそのまま取り上げているだけなのだが、本書を書くに当たっての取材など事細かに描かれていたのと同時に、夫婦事情も取り上げられていた。しかしなぜ彼女は「失踪」したのだろうか、それは記載されていなかった。推測はあまり書きたくないのだが、本書をあえて「匿名作者」にしたのも本書を描いている時に何らかの夫婦のこじれがあった、あるいは自分の恋愛とは何かに悩んだのかもしれない。それが如実に表れている証拠が本書である。