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ミステリー

緋い川

「赤」という漢字は、使いようによっては「紅」にも、「緋」にも、「朱」にもなる。なぜ本書はタイトルで「緋」を使ったのか、物語の仲にあるように見える。 本書はと言うと明治時代の話であり、とある山村集落において起こった事件を取り上げている。その山村で流れる川には動物どころか人間の死体が血と共に流れるところから物語が始まる。もっともこういった話を見ると、狂気の沙汰の部分があり、都会の世間と大きくかけ離れた […]

GAP―ゴースト アンド ポリス

本書は警察小説であるのだが、取り上げられている警察官は一風変わっている。もっと言うと、「こち亀」の両さん(両津勘吉)に匹敵するほどのくせ者とも言えるような警察官ばかりである。もっとも品行方正という言葉が似合うかというと微妙であり、警察幹部からも煙たがられる存在である。 しかしその警官たちがいる交番の周囲の人々が大好きで、巡回と称して世間話に首を突っ込む。しかしその世間話から事件に遭遇し、解決へと導 […]

精密と凶暴

忍者の発祥は諸説あり、ハッキリとしていないが、少なくとも源平と呼ばれた合戦の時代以降には存在している。平安末期から鎌倉時代にかけてである。人目に隠れて奇襲を行い人を殺すこともあれば、建物などの破壊、さらには諜報活動など、役割は多岐にわたる。 伊賀衆や甲賀衆のように集団を作るところもあれば、将軍や藩士直属の忍びもいる。また忍者の役割を終えた後は、主に創作の面で忍者が扱われるようになり、そのイメージが […]

燃える水

決してアニメ化・実写映画化されたマンガによく出てくる、「可燃性の水」の事を表している作品ではない。(映画では登場回数漫画史上No.1と標榜しているが) それはさておき、本書の舞台はとある中小電機メーカーであるが、その会社員が遺体で見つかった所から物語は始まる。しかしその事件の謎を紐解いていく内にメーカー全体を含めて、リストラ・廃業などが起こった。 しかもライバル企業の魔の手など、会社という「枠」を […]

カッコウの微笑み

ハッカーの事件は後を絶たない。大手の会社への不正アクセスのみならず、そのデータを盗むどころか、ランサムウェアを入れて、身代金を出させるような行為まで及んでいる。対象は全世界にまで広がっており、日本の企業でも実際に被害を受けているケースも存在している。 さて本書の話だが、主人公はハッカーとしての裏の仕事を行っているのだが、依頼を受けて製薬会社へハッキングを行いデータを盗むといった事を行った。しかしそ […]

眠りの神

本書のタイトルは「眠り」と言っても「永眠」の方で、いわゆる「死」を幇助するといった事件を描いたミステリー作品である。当ブログでも何度か「尊厳死」や「安楽死」といったものを取り上げてきたのだが、本書はそれを小説の舞台にしている。 あくまで創作なのだが、「尊厳死」とは何か、「死ぬ権利」とは何か、そのことを考えさせられ、なおかつ海外では安楽死や尊厳死が認められている事例を引き合いに出しながら描かれている […]

首イラズ 華族捜査局長・周防院円香

大正時代となると「大正ロマン(浪漫)」と呼ばれる文化事象や思潮があった。日清・日露戦争の戦勝や第一次世界大戦の参加によって、参加によって国そのものが先進国の仲間入りとなりつつあった時代であり、国家的にも「大正デモクラシー」といった民主化の運動が起こり、日本における民主主義の土台がつくられつつあった。その一方で関東大震災といった憂き目もあった。 その大正時代を舞台とした作品は数多く、有名どころでは「 […]

前夜

山奥や僻地と行った所の場合は古い慣習が残っている所が多くある。その「慣習」自体が、外から見れば、ある種非現実的、あるいはファンタジーといった要素が絡んでおり、本書は、慣習をもとにした「ファンタジー」がある。 ちなみに本書は「ミステリー」でありながら「ファンタジー」の要素が色濃くある。山奥の集落にある別荘が舞台となっているが、そこにはある「吸血鬼」の伝説があるという。 殺人事件が起こるのだが、吸血鬼 […]

光二郎分解日記 西郷さんの犬

本書に出てくる「光二郎」はおじいちゃんである。元々理科教師で、理科の実験として分解をすることが趣味という人であるが、定年退職をして隠居後はどのようなものを分解したのか、掘り下げてみたいのだが、掘り下げていけば行くほどマッドサイエンティストのイメージができてしまうためここでは省略をしたい。 さて、本書の話に移る本書は親子が探偵隣、事件を解決するミステリー作品であるが、ミステリー作品というとけっこう事 […]

下北沢インディーズ

東京の下北沢は私自身一度も行ったことがない。下北沢というと閑静な住宅街もあれば、ファッションも下北沢ならではのものが揃っているといったイメージがどうしてもつきまとう。現地ではどのような状態なのかはわからないのだが。 それはさておき、本書は下北沢発のインディーズバンドが音楽に情熱を注いでいるのだが、とある事件に出会う。しかしその事件の真相を紐解いて行くにつれ、音楽への情熱がさらに高まりだし、ある意味 […]