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文芸・評論

物件探偵

ミステリーの中には様々なものから証拠やトリック、謎を探し、見つけると言ったことが行われる。本書はその中でも「物件情報」から事件を解きあかすといった物語である。 探偵である一方で不動産情報について詳しく知っているという奇想天外な人であるのだが、ある事件を不動産情報から謎を読み解くというものである。しかもその情報がかなりマニアックで「利回り」「間取り」など誰でも分かるような情報から不動産投資家でしか分 […]

セブンズ!

いよいよ9月20日から「ラグビーワールドカップ2019」が開催される。私がよく行く所でも、ラグビーワールドカップに関するPRが盛んに行われており、全国12会場で熱戦が行われる。そのことを考えると「今、ラグビーが熱い」という言葉が似合うほどである。 よくあるラグビーの試合は1チーム15人(通称:フィフティーン)が有名であるのだが、これは「ラグビーユニオン」と称されている。他にも13人制の「ラグビーリ […]

豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件

本書のタイトルを見ただけでもナンセンスコメディであることがよく分かる。しかしよく考えてみるとなぜ罵倒の言葉の一つに「豆腐の角に頭ぶつけて死ね」と言う言葉は調べてみると、 「「死ね」という罵倒表現を冗談めかして滑稽に述べる言い方。落語に由来する。冗談を冗談と受け止められないようなつまらない人間を揶揄する(明白な冗談であるが真に受けてしまえという意味を込めた)言い回し」(Weblio辞書より) とある […]

2センチの隙間

2センチというとわずかであるのだが、そのわずかな距離には光と闇がある。本書はタイトルにある作品を含めた3作品が収録されているのだが、表題作は「2センチ」の距離の長さを垣間見ることができた。 物理的にはかなり短いように見えるのだが、部屋としての2センチの中には「心」と言った要素も存在しており、その「心」としての距離は物理的に2センチはあれど、精神的な距離はそれよりも遥かに遠いものになっている。もっと […]

天下一の軽口男

伝統芸能にも必ずといってもいいほど「始祖」が存在する。落語の世界でも江戸落語では鹿野武左衛門がおり、上方では初代露の五郎兵衛や本書の主人公である米沢彦八がいる。上方落語界の草分け的存在であり、いまとなっては上方の落語祭として「彦八まつり」と銘打っているほどである。 その彦八は「笑い」そのものを商売にすることを思い立ち、幾度の苦難・挫折を経験しながらも、日本における「笑い」の文化をつくった。その物語 […]

パリンプセスト

本書のタイトルである「パリンプセスト」は本来、 「書かれていた元の文を消して,その上に別の文を書き写したもの。羊皮紙が不足した中世には古い羊皮紙写本が時々このように使われた」(「大辞林 第三版」より) とある。本書はそういった意味ではなく、不思議な街の名前を指している。しかしながら、その街の中にある産物には本来の「パリンプセスト」の意味なるものも存在するため、一概に「架空」の解釈とは言い難い。とは […]

わたしがわたしであるために GENUINE FRAUD

本書で取り上げる主人公は18歳でありながら、過酷な運命に苛まれるどころか「偽り」といった言葉で塗り固められた人物であった。特に後者においてその「偽り」が自らの首を絞めるようになり、「わたし」はどんな人間なのか、という悩みにまで転じるほどであった。 しかしその「偽り」で塗り固められたなかで、主人公は「真実」と「わたし」が欲しかったような印象だった。偽りのない「わたし」、そしてそこからつながる人たち、 […]

消えていく日に

私自身、独身であるため、1人でいる時間はけっこうある。もっとも結婚をしたとしてもできる限り1人でいる時間をつくることをめざしている。1人の時間は寂しいように見えて、自分自身で楽しめるようなもの・こともたくさんできたことにより、1人だけでも寂しいと言った感情は少ない。 本書はそんな1人の時間について綴られた短編集であるのだが、料理・ファッション・記念日・日常など挙げるだけでもきりがない。 本書を見て […]

竜宮城と七夕さま

本日7月7日は七夕である。織姫と彦星がまさに出会うようなロマンティックな一日であるのだが、織姫も彦星も恥ずかしがり屋なのか、ほぼ毎年雨が降る。しかし例外はあり、数年~十数年に一度は晴れることがあり、時として天の川がキレイに映ることがあり、七夕らしさが映える夜になる。元々七夕は中国大陸にて生まれ、奈良時代に日本へ、行事として伝わり、いつの間にか伝承としてできたことにある。 七夕における織姫も彦星にし […]

ラストラン ランナー4

本書は高校生ランナーの青春を描くシリーズ「ランナー」の最終巻にあたる一冊である。最後の一冊であるだけに、本書の舞台は高校最後の大会である。しかしその大会までには不祥事が起こってしまい、ライバルとの対決ができなくなってしまった。 再戦を期待していたランナーが意気消沈してしまったのだが、それはライバル2人だけでなかった。それぞれの選手を支える周囲の方々の尽力や秘策によってついに再選の機会が得られるとい […]