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歴史・地理

多様な子どもの近代 稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち

「子ども」の扱いはもちろんのこと、境遇も時代と共に変わっていく。かつては丁稚奉公といったもので、学校での勉強をせずに働きに出て、社会そのものを学ぶと言ったことがあった。そのため働くこと以外での知識がなく、文字も読めないといった人も少なくなかった。 やがて時代は変わっていき、子どもを取り巻く環境も変わってきた。本書はその子どもにまつわる「近代史」を取り上げている。 第1章「「稼ぐ子ども」をめぐるポリ […]

大岡信 架橋する詩人

日本を代表する詩人、大岡信(おおおかまこと)が逝去してからもう4年経つ。詩集などで数多く活躍しているだけでなく、合唱曲の作詞も手がけてきたため、音楽を行ってきた私自身としては「作詞:大岡信」というイメージが強く残っている。とりわけ印象に残った合唱曲として大岡信が作詞で手がけたものというと合唱組曲「方舟」がある。 さて、大岡信によってつくられた「詩」と人生はどのようなものだったのか、本書はそのことに […]

直向(ひたむ)きに勝つ 近代コーチの祖・岡部平太

昨今のスポーツでは見直されたとは言えど、未だに「精神論」「根性論」で語るような指導者もいる。中にはそればかりに主張しすぎてしまい、スポーツをすることの楽しさ、さらにはスポーツを通しての人間形成を無視してただただ「勝利」だけを求める「勝利至上主義」がまだ残っている。もちろん勝利をすることも大切だが、勝利・敗北はあくまで結果でしかなく、その前後のプロセスも兼ねて今後の人生に対しての糧となる。 またスポ […]

生きのびるための流域思考

「流域思考」と言うとけっこう学術的でとっつきにくいイメージが持たれる野田が、実際には台風・洪水に対しての災害対策、および防災のために川の流れを知り、対策を行う考え方を表している。毎年のように台風、さらには豪雨などによる洪水被害は後を絶たず、さらには河川の氾濫も起こっている状況にあるため、流域思考は重要な考え方とも言える。本書はその河川の氾濫をはじめとした災害対策における「流域思考」とは何か、そして […]

藤原仲麻呂-古代王権を動かした異能の政治家

日本には生前、もしくは没後に位階とよばれる位に叙勲されることが多い。もちろん功績などのことが考慮されるケースもあるのだが、その功績の中で最高の位として「正一位(しょういちい)」がある。実際に正一位に授与された人は何人かいるのだが、ほとんどが没後叙勲で中には没後数百年してやっと授与された人もいる(織田信長や豊臣秀吉がその一例)。しかしこの正一位の没後叙勲でさえここ100年以上授与がなく、もっと言うと […]

疫病と投資 歴史から読み解くパンデミックと経済の未来

「疫病」と「投資」と言うと、相容れないように見えて、実はある程度関係がある。それはパンデミックといったかつては新型インフルエンザ、現在では新型コロナウイルスなど感染が急拡大して、それを収束させるために、様々な研究が行われ、ワクチンや薬の開発が行われる。その財源には国のお金も入ってくるのだが、その一方でファンドが設立され、そのファンドの投資によって資金源となり、研究開発に着手できるといったものもある […]

ユーゴスラヴィア現代史 新版

ユーゴスラヴィアは南東ヨーロッパに位置している地域であり、かつては一つの国として存在していた。今は解体され「七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家」の集合体として形容されている。 このユーゴスラヴィアの地域は20世紀以降、「歴史」に大きくさらされてきた場所としても有名である。そのため「現代史」と銘打っているのだが、「歴史」と広義に表しても、現代史がもっ […]

国民義勇戦闘隊と学徒隊 隠蔽された「一億総特攻」の記録

大東亜戦争が終結して76年を迎える。この大東亜戦争の歴史は様々な思いが交錯し、なおかつ召集された人たちはもちろんのこと、普段から住み慣れたところから戦禍となり、疎開せざるを得なくなるといったこともあった。 そして本書は終戦間際に総力戦の象徴の一つとして「国民義勇隊」、後に「国民義勇戦闘隊」となったのだが、その変遷について取り上げている。 第一章「「本土決戦」と国民義勇隊の創設」 敗色濃厚の状態の中 […]

「オピニオン」の政治思想史―国家を問い直す

第一章でも同じように言及をするのだが、そもそもオピニオンは直訳すると「意見」である。もっとも最近では良くも悪くも話題となる週刊誌の中には「オピニオン誌」という側面も持っている。 このオピニオンこそ「政治思想」とは切っても切れないものであり、なおかつ思想の違いといったものがハッキリと出てくる。もちろん現在の政治にも大きな影響を及ぼす。その政治思想とオピニオンはどのような歴史を辿っていったのかを取り上 […]

天正伊賀の乱-信長を本気にさせた伊賀衆の意地

戦国時代の真っ只中にあり、織田信長が天下を取らんとしている時期にあった。その時に起こった乱の一つとして本書で取り上げる「天正伊賀の乱」がある。しかしこの天正伊賀の乱は第三次まで起こったのだが、その顛末を取り上げている。 第一章「乱勃発前夜」 伊賀というと「忍者」を連想してしまうのだが、実際には国の一つとして伊賀国があった。しかし戦国武将は生まれていなかったため、国としての印象は薄かった。もっとも国 […]