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社会

エジプト革命―アラブ世界変動の行方

アフリカ北部にあるエジプトにて大規模なデモが起こり、長きにわたり独裁政治を続けてきたムバラク政権が崩壊した。それがエジプトを越え、リビア、バーレーンなどのアフリカ、中東諸国に波及し、世界的にも話題となった。私の趣味の話になってしまうが、その影響により2011年シーズンの第1戦になるはずだったバーレーンGPも中止となった。 俗に「アラブの春」と呼ばれる現象だが、本書はその中東を中心に大規模な革命の起 […]

無縁社会の正体―血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか

昨年取り上げた「無縁社会~“無縁死”三万二千人の衝撃」は現在進行形で起こっている社会問題の一つであり、かつ日本人の現状そのものを映し出している。 たしか「光に向かって~3.11で感じた神道のこころ」という本で仙台のある神主が震災後初めて東京に着たときに「心の被災地」となぞらえて衝撃を受けた話を思い出す。「無縁社会」はまさにこのことを言っているのかもしれない。 本書もまた「無縁社会」について書かれて […]

友だち不信社会

「友だち」と呼ばれる存在は学校・会社問わずかけがえのない存在である。しかしその「友だち」そのものの存在が信じられないものになってしまっている。もっとも「いじめ」が顕在化した80年代後半~90年代前半もあるのだが、インターネットなどが普及したことにより「掲示板サイト(裏サイト)」やメールなどでの誹謗中傷の書き込みやメールが相次ぎ、それが心の傷となり、自殺に追い込まれる人もいる。 本書はそのかけがえの […]

団塊モンスター―“妄走老人”たちの事件簿

価値観や常識は時代とともに移ろいで行く。しかしその時代に取り残され、昔の価値観や常識を振り回し、周りを辟易する人がいるのだという。本書のタイトルは「団塊世代」におけるそのような人たちにスポットライトを当てているが、すべての「団塊世代」ひとがそうではなく、かつ「団塊世代」ではなくても、昔の価値観を振り回す人もいることを前置きとして加えておく必要がある。 第一部「妄走老人」 「団塊世代」の多くは企業が […]

近所がうるさい!―騒音トラブルの恐怖

「ご近所様」という言葉はもはや「死語」なのだろうか。 「近所迷惑」になるようなことがもはやニュースで取りざたされるほどの「事件」になることも最近では多くなってきている。「近所迷惑」という訳でも無いが、「騒音被害」としては直近でも羽田空港の再拡張により千葉氏への騒音苦情が大幅に増えたというニュースがあった。「ご近所様」と呼ばれる時代の中で様々なことを共有したり許しあった時代があった。たとえそれが「騒 […]

自然災害とストレスマネジメント それでも僕らは歩み出す

「被災地から被災地へのエール」 本書はそのための一冊と言える。阪神淡路大震災では崩壊した瓦礫による圧死を中心に約6500人もの命が失われた。それだけではなく、その災害により、多大なストレスに押しつぶされ「震災関連死」により自殺する人もいた。しかしそれはメディアでは取り上げない。 本書はその震災から起こったストレスへのマネジメントと心構えについての伝授とともに、被災地へのメッセージとしている。 第1 […]

「嫌消費」不況からの脱出

一昨年の話に遡るが「「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち」という本で、私たちの世代の「嫌消費」について分析を行った一冊を紹介したが、本書はその続編として「嫌消費」世代が台頭したとき、その不況から脱出する方法を提言している。高度経済成長期でモノは急速に豊かになり、飽和状態になっていったのだが、その反動が「失われた10年」を経てやってきたと言える。不況の中でももっとも「厄介」 […]

なぜメルケルは「転向」したのか-ドイツ原子力四〇年戦争の真実

政治家は人それぞれの「思想」によって、その思想と合致する政党に入り、そこから政治的な主張や政策を構築し、実行していく。その思想を「転向」する事もあり得るが、それが政治家として国民に対する「裏切り」としてメディアや他の政治家が糾弾することも少なくない。 本書で紹介するドイツの首相であるアンゲラ・メルケルは当初原発推進派として、原発開発に積極的だったのだが、東日本大震災による福島第一原発事故の惨状の情 […]

子どもの声を社会へ――子どもオンブズの挑戦

「子どもに人権はいらない」 2008年1月27日放送分のに「たかじんのそこまで言って委員会」にて政治評論家の三宅久之氏の発言である。その言葉に関して賛否はどうかというのはここで控えておくが、子どもに人権は必要なのか、というのはこのときから考え始めた。 本書の話に移り、その子どもの人権を守る、そして子どもの声を社会に反映させる「オンブズマン」の役割を担うのが兵庫県川西市に存在する。名付けて「子どもの […]

ピア・ボランティア世界へ―ピア(仲間)としての障害者の国際協力

「ピア」は直訳すれば「仲間」 障害者同士の仲間やそこから派生するカウンセリングやワーキング、そしてボランティアがある。既存のボランティアやカウンセリングといった単方向なものではなく、むしろ双方向でお互いの心などをケアすることを指している。 おそらくこれからのカウンセリングやボランティアを投影する「ピア・ボランティア」。本書はマレーシアで行われた実践と挑戦を綴るとともに、これからのボランティアとカウ […]