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書評

神々と肉食の古代史

昨今では当たり前のようにハンバーガーやステーキなど肉を食べる機会が多いのだが、元々奈良時代に聖武天皇が「肉食の禁」が出て、開国を機に解かれるまでは長らく牛肉・豚肉などは食べられなかった。そのことからか兎の肉を食べるときに、兎の耳の部分が鳥の羽と似せられていることから数え方が「匹」ではなく、「羽」と数えられた逸話も存在する。 それはさておき、聖武天皇が肉食の禁を出す以前はごく普通に肉も食べられていた […]

ブルーシート

ブルーシートというと、レジャーなどで使われる青いシートを連想するのだが、震災などのレスキュー時にも使われる。 豆知識はここまでにしておいて、本書は2013年1月に福島県立いわき総合高等学校がアトリエ公演として上映された演劇の戯曲である。そもそもの戯曲は福島県における東日本大震災を題材にしているが、自ら体験したように死体や、倒壊した建物の惨状を克明に描かれており、私としてもセリフ一つ一つを見て、震災 […]

あした咲く蕾

本書は、朱川湊人氏の短編集であるが、朱川氏の小説は当ブログでも何度か紹介したこともあり、作風はよく知っている。どういった物かと言うと、女性を主体としている作品もあれば、暖かみのある作品も存在する。 本書もまた暖かみのある作品あのだが、短編集一つ一つに性格を持っており、優しいタッチのものもあれば、「カンカン軒怪異譚」といった「異色」と呼ばれるものもある。どのように異色なのか、と言うと、怪異作品そのも […]

お座敷遊び~浅草花街 芸者の粋をどう愉しむか~

浅草で「遊び」というと色々と出てくるのだが、中には「お座敷遊び」と言うのも存在する。「お座敷」に近いもので言うと、京都の花街(上七軒、祇園甲部、祇園東、嶋原、先斗町、宮川町)や大阪の花街(北新地、南地(ミナミ)、堀江、新町)などの「お茶屋」において、食事をしながら芸妓を呼んで客に芸を披露したり、飲食をさせたりするのと似ている。(最も近いものとして「待合」というのが存在する) お座敷とお茶屋両方に存 […]

地方が輝くために――創造と革新に向けての地域戦略15章

最近地方にフォーカスした本が良く出ている。昨年の7月に発売された「里山資本主義」も地方にフォーカスしており、地方の疲弊を訴えた本もあれば、地域が活性化しつつある、という本も存在する。 では本書はどうなのか。本書は都市から役人として地方に赴き、地方の大学で地方活性化を研究し、実践している方が地方改革のあり方について説いている。 地方によっても様々な事情があるのだが、様々な事情だからでこそ、著者は「や […]

一生懸命って素敵なこと

「一生懸命」という漢字は既に認知されているものの、元々「一生懸命」という漢字は俗用である。本来は「一所懸命(いっしょけんめい:武士が,生活のすべてをその所領にかけること。)」と言うのが正しいが、元々は前述の通り武士の領地を守ることで使われたため、時代にそぐわないことにより、近世以降「一生懸命」という言葉が使われ始めた。意味自体は一所懸命でも一生懸命でも同じであるため、併用するところもあればどちらか […]

くじけてなるものか 笹川良一が現代に放つ警句80

皆さんは「笹川良一」をご存じだろうか。もう亡くなられて19年の月日が流れるのだが、今でも「右翼のドン」や「政界のフィクサー」として名の知られている人物である。右翼団体の総裁を勤めた一方で、衆議院議員、さらには財団法人の会長や大学の理事長まで勤め上げた人物であった。他にも起訴はされなかったものの、A級戦犯として指名され「巣鴨プリズン」に入獄した時期もあり、獄中の事を事細かに綴った「巣鴨日記」は大ベス […]

逆境?それ、チャンスだよ

PHP研究所様より献本御礼。 1974年に新日本プロレスでデビューしてからちょうど40周年を迎える長州力。デビュー当時は本名の吉田光雄だったが、ファンの公募により長州力に改名された、40年もの間、強さはもちろんのこと様々な名言を残し、歴史に名を刻んだレスラーであり、インタビュー集なども数多く存在する。しかし本書はかねてからあるようなプロレス本とは異なり、ビジネスマンのために自ら何を残すのか、名言の […]

東京ピーターパン

本書は「音楽小説」と言われる一冊である。平凡な30代のサラリーマンと、ギタリストだった60代、さらにはバンドマン志望の20代、高校生とその姉と世代がバラバラな5人が新しいバンドをつくり、音楽を歌い上げるのだという。しかもそのきっかけはサラリーマンが起こした交通事故だから驚きである。時系列に、それも多重で進められる物語の中でバンドのパートのようにそれぞれ異なるモノの、パートが混ざり合って1つの曲のよ […]

ジェネレーショノミクス~経済は世代交代で動く

あまり聞き慣れない用語である「ジェネレーショノミクス」だが、「ジェネレーション(世代)」と「エコノミクス(経済分析)」を掛け合わせた造語であり、世代論に基づいて経済的な変化が起こると言うこと説いている一冊である。先の「ジェネレーション」の議論、いわゆる「世代論」は往々にして「若者論」に偏りがちになっていくが、本書では「世代交代」にフォーカスを当てて経済の循環と変化について取り上げている。 本書では […]