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戯曲・詩

ひとりが好きなあなたへ2

昨日の書評で「孤立」と「孤独」の違いを取り上げた。もっとも孤独にしてもネガティブな印象がある一方で、沈思黙考をはじめ、孤独でいることのメリットを取り上げる本はいくつかある。 本書もその一つである。ちなみに本書は11年前に出版された詩集の続編にあたり、独りでいるあなたへ送る詩集と写真を綴っている。 「ひとりが好き」という人はけっこういる。かくいう私も時として「ひとりでいたい」という思いが何度もあり、 […]

この約束のあとで

本書の著者は詩をしたため続けて20年であり、本書は3冊目の詩集である。変わりゆく時代や日常の変化、さらには最新技術への思い、さらには必ずやってくる「老い」と「病」と言った所がひしひしと伝わっていく。 著者自身、18歳からずっと「線維筋痛症(せんいきんつうしょう)」を患っている。「線維筋痛症」とは、 「線維筋痛症」とは、3ヶ月以上の長期にわたって、身体のあちこちの広い範囲に痛みが出没し、身体の強いこ […]

BIRTH×SCRAP

本書は2つの戯曲を取り上げている。しかもその戯曲は2編とも、著者が主宰する「劇団温泉ドラゴン」にて上演され、特にBIRTHは2015年に韓国の演劇祭に出展され、戯曲賞受賞を受けるなど、評価は高い。 さて本書で取り上げている2つの戯曲はどちらかというと「アウトロー」の色が強い。「BIRTH」は日本が舞台ではあるものの、「オレオレ詐欺(現在は「振り込め詐欺」と言う方が多い)」を主軸としている。事情によ […]

オーケストラ ー世界の町で楽団員をさがそう!

オーケストラというと様々な楽器で編成される。その楽器の奏者は数多くおり、曲によっては少なくて済むのもあれば、多種多様の楽器を使うことさえもある。よくオーケストラに使われる楽器について本書は絵本であるのだが、取り上げられている。 ちなみに本書は絵本であるのだが、あたかも「ウォーリーを探せ」の如く、楽器の楽団員を多数いる人の中から探すと言ったある種の人捜しクイズにようになっている所も魅力的である。 し […]

シルバー川柳8 書き込んだ予定はすべて診察日

川柳は5・7・5にてつくる事ができるのだが、俳句と異なる点としては季語は入れるという制約がないことにある。そのため自由の度合いが高く、喜怒哀楽の状況を面白おかしくしたためることができるのも川柳である。 本書における「シルバー川柳」は全国有料老人ホーム協会主催の下で、高齢者の様々なことを川柳にしているのだが、その8弾としてどのようなものがあるのか取り上げてみる。 <Ⅰ> ・「インスタバエ」 新種の蠅 […]

穂村弘の、こんなところで。

歌人・穂村弘はどのような関わりを持っていたのか、そしてどのような対談を行ったのか、様々なジャンルの人41人が対談を通じて解き明かしている。 本書は月刊「花椿」と呼ばれる資生堂が発行している対談集であるのだが、なぜ歌人が対談を行っているのか、そしてどのような題材なのか、対談を通じて探っている。もちろん歌人ならではの観点、41人ならではの観点が映し出されており、その観点がユニークであり、著者自身の新し […]

史上最高に面白いファウスト

ゲーテの名作の一つに「ファウスト」という戯曲がある。表向きとしては教養人ファウストの努力の物語というのだが、錬金術から黒魔術、さらにはその知性を得るために悪魔とも契約し、欲望の赴くままに動くといった作品である。構想60年を経て作り出された戯曲は数多くの作品にインスピレーションを受けたとしても知られている。有名どころではベルリオーズの「ファウストの劫罰」、ワーグナーの「ファウスト序曲」、さらには手塚 […]

エンジョイ・アワー・フリータイム

本書は小説というよりも「戯曲」と呼ばれる一冊である。戯曲というとドラマや演劇の台本のように描かれていることが多いのだが、本書は演劇の中でも現在の日本の労働環境を映し出しているような作品である。どのような作品なのかというと派遣社員やファミレスのアルバイト、フリーターなど様々な人物であるが、いずれも「ゼロ世代」と呼ばれる、いわゆる「ロスジェネ(ロスト・ジェネレーション)」と呼ばれる世代が中心となって描 […]

戦地で生きる支えとなった115通の恋文

大東亜戦争の時代、その時に故郷と戦地とで通信できる手段として「手紙」があった。その手紙には家族、兄弟、親友、戦友、そして恋人へと宛てた手紙がある。その中でも本書は「恋文」と呼ばれる115通もの恋文を春夏秋冬に分けて紹介している。戦地のこと、家族・恋人の甘く、それでいて残酷で切ない文章が詰まっている。 第一章「冬―忘れられぬ夫様へ ひとりぼっちのしづより」 年末から3月にかけて書かれ、受けた手紙を取 […]

詩の寺子屋

学校の国語の授業などで「詩」を読むことがある方も多いようだが、実際に「詩」はどうやって書いたら良いのかわからない方も多いことだろう。しかし著者に言わせたら、 「詩を書くことは、難しいことではありません」(p.iiiより) なのだという。ある意味「コロンブスの卵」のような答え方であるのだが、どうしてそのようなことが言えるのか、具体的にどのような手法でもって詩を書けばよいのか、著者流の詩の基本、書き方 […]