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国際政治

今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

ハンナ・アレントはドイツ帝国にて生まれたユダヤ人であり、ナチズムが台頭してからアメリカに亡命し、自身の哲学を発展させた。有名な著作に「全体主義の起源」がある。1951年に発表された。 本書はその「全体主義の起源」をもとにハンナ・アレントにおける「全体主義」の悪夢を解き明かしている。 第1章「反ユダヤ主義の起源」 そもそも「全体主義の起源」が生まれたきっかけとしてナチズムの台頭にあった。自身がユダヤ […]

孤独は社会問題 孤独対策先進国イギリスの取り組み

本書はイギリスが舞台であるのだが、日本でも「孤独死」が社会問題となり、内閣にも特命担当大臣として「孤独・孤立対策担当」が設けられるようになった。解決までの道は長く険しいものの、政治や経済、地域など様々な観点から解決への道筋を立てられるかにかかっている。 さて本書はイギリスにおける「孤独対策」であるのだが、政治に限らず王室も巻き込んでの対策を行っているという。 第一章「孤独担当大臣の創設」 「孤独」 […]

韓国愛憎-激変する隣国と私の30年

日韓関係について、昨今では鳴りを潜めているが、かつては盛んに議論されるほどだった。もちろん後述の歴史認識問題などが発端となることがほとんどであったが。そもそも「歴史」と考えると、「日韓」というよりも、むしろ日本と「朝鮮半島」と言う方が適当かも知れない。 さて本書である。本書は1990年代以降あった「日韓関係」の歴史を著者自身の観点から紐解いている。 第1章「希少価値の韓国研究者―1990年代初頭」 […]

アメリカの制裁外交

今でこそ、バイデン政権に変わっており、その中での外交は行われているが、実際にどのような外交になるかはまだ未知数と言うほかない状況にある。 アメリカでは歴代大統領によって、外交が変わってきており、本書で紹介するような他国に対しての「経済制裁」に積極的な大統領もいれば、逆に消極的な大統領もいる。特に適している国に対しては制裁を行うことが多いのだが、いったいどのような制裁を行ってきたのか、本書にて取り上 […]

アメリカ大統領選

今日はアメリカ大統領選の本選である。ここで2021年~2024年の4年間の大統領が決まる。しかしながらこの日は一般投票であり、選挙人による投票は来月の14日で、投開票が行われ、正式に決まるのは来年の1月6日の見込みである。 現大統領であるドナルド・トランプと民主党のジョー・バイデンの一騎打ちになると予想されており、10月現在ではわずかにバイデン候補がリードしていると言われている。実際の様相はこの1 […]

ベルルスコーニの時代――崩れゆくイタリア政治

シルヴィオ・ベルルスコーニは首相として就任・辞任を繰り返したのだが、長きにわたって首相として政治の中枢にいた。首相もとい政治家になる以前は建設業やメディアの経営により巨万の富を得た存在であり、そこから政治家として転身した人物である。イタリアの政治を長らくになってきた一方で汚職疑惑やスキャンダルが絶えない政治家でもあり、なおかつ政界引退・復帰を繰り返し、今年2度目の国政復帰を果たした。そのベルルスコ […]

世界最強組織のつくり方──感染症と闘うグローバルファンドの挑戦

おそらく本書ほど現在の状況にクリティカルな一冊はないのかもしれない。本書の舞台は1990年代におけるHIV(エイズ)・結核・マラリアの感染症対策に向けて動いた「国際基金グローバルファンド」を表しているのだが、実は現在蔓延している「新型コロナウイルス(COVID-19)」の対策にも動いている。本書はその組織ができ、そして活躍するまでの軌跡を取り上げている。 第一章「世界最強の組織を創る」 90年代の […]

ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から

ルポルタージュとしてはけっこう異色のようなタイトルである。というのは「科学」の現場について、むしろ科学における現場と言うよりも、時事的な統計や政治的な背景も絡めての「科学」であること、そしてアメリカでは「科学不信」には科学の授業が苦手というよりも、現在のアメリカ政治の中に「科学不信」と現大統領のドナルド・トランプの関わりがある。なぜアメリカ政治と「科学不信」が関わっているのか、その背景にはトランプ […]

ミャンマー権力闘争 アウンサンスーチー、新政権の攻防

今でこそ国家顧問・外相として政権を担っているのだが(※ミャンマーの憲法上大統領に就任することができないため)、そもそもアウンサンスーチーはどのようにして政権を担うようになったのか、その攻防を追ったのが本書である。 第一章「闘争の幕開け」 元々ミャンマーは軍事政権であり、アウンサンスーチーは度々自宅軟禁を受けることとなった。最初のきっかけとなったのが、1988年に起こった「8888民主化運動」であっ […]

ライシテから読む現代フランス――政治と宗教のいま

本書にて取り上げている「ライシテ」とは、 「フランスにおける教会と国家の分離における原則(政教分離原則)、すなわち、国家の宗教的中立性・無宗教性および(個人の)信教の自由の保障を表わす」(Wikipediaより) という。政教分離の思想はフランスを単に発し、様々な国にて取り上げており、日本でも例外なく採用されているが、国によっては条文として定められているだけで、宗教的な要素を政治的儀礼に反映してい […]