パトロネ

本書のタイトルにある「パトロネ」は、フィルムに納められている円筒の缶を指している。最近ではデジタルカメラが増えてきているせいか、フィルムと同じようにあまりみられなくなったとも言える。しかし古くからの写真愛好家にとってはフィルムカメラの感触と映し出される写真の味わいが忘れられず使用している人も少なくないのかもしれない。 私自身もプライベートで写真を撮ることはあるのだが、大概は携帯電話のデジタルカメラ […]

同期生~「りぼん」が生んだ漫画家三人が語る45年

仕事の世界にしても、本書にある漫画の世界にしても、あるいはそれ以外の世界にしても「同期」はある。しかもその「同期」は親友にも戦友にもなりやすくある。 本書は毎年行われている「りぼん新人漫画賞(以下:新人漫画賞)」の第一回入賞者の3人が、それぞれの漫画観と同期たちの思い、そして編集者との出会い、そしてそれぞれの人生について綴っている。 第一章「一条ゆかり」 「砂の城」や「有閑倶楽部」をはじめ少女コミ […]

今、原子力研究者・技術者ができること

2011年3月11日に起こった東日本大震災を引き金とした「福島第一原発事故」により、日本、ひいては世界中で「脱原発」の気運が高まった。12月に行われる衆院選でも各政党のマニフェストは異口同音ながらも「脱原発」を掲げている。 わたしもゆくゆくは「脱原発」はした方がよい考えであるが、それ以前に「原発」とは何か、そのために原子力研究はどうするべきかを考える必要があるのではないかと考える。毒をもって毒を制 […]

おいしいコーヒーの経済論――「キリマンジャロ」の苦い現実

「缶」にしても、「インスタント」にしても、「ドリップ」にしても私たちの中で愛されているコーヒー。かく言う私もホットコーヒーを飲みながら書いている。毎日缶コーヒーやインスタントコーヒーを飲まないと気が済まないため、コーヒーを飲まない日はむしろ珍しいほどである。 そのコーヒーにまつわる貿易や経済については当ブログでも何度か紹介したことはあるのだが、本書はその中でも有名な「キリマンジャロ」の銘柄から経済 […]

日本の難点

シリーズ「『宮台真司』の思考を解剖セヨ!」最後は日本そのものについてである。 人には長所や短所もあれば、「難点」が存在する。それは日本という一つの「国家」にも同じことが言える。その難点はいったいどのようなものなのだろうか。本書では「コミュニケーション・メディア」「教育」「幸福」「米国」「日本」のそれぞれのカテゴリーに分け「現状→背景→処方箋」という順序で考察を行っている。 第一章「人間関係はどうな […]

タブレット革命 ~iPad登場でわかった“板型PC”の破壊力

家電量販店を見かけると「iPad」をはじめとした「タブレットPC」がいろいろと売られている光景をよく見る。自分自身もタブレットPCは「欲しい」のだが、自分自身の仕事・プライベートを考えると「まだ必要がない」と思いつつ、売場を去ってしまう。 とはいえノマドワークをするために大いに役立つ「タブレットPC」によってPCワークはどのように変わるのか、ビジネス・プライベート双方の観点でどのような変化をもたら […]

サブカルチャー神話解体―少女・音楽・マンガ・性の変容と現在

シリーズ「『宮台真司』の思考を解剖セヨ!」第6弾はサブカルチャーである。これまで社会にまつわることばかり取り上げてきたのだが、今回ほど私が取り上げたいものはない。宮台氏は社会学者であるが、サブカルチャーにまつわる言及も多い。 その言及の源流を探るべく、1992年~1993年に「アクロス」という雑誌で連載されたものから2007年版に加筆された本書をみてみることとする。 第1章「少女メディアのコミュニ […]

ミッシングリンク―デジタル大国ニッポン再生

本書のタイトルである「ミッシングリンク」は直接訳すと「失われたつながり」のことをいう。 日本の情報通信産業にはそういったものがあり、それが国際競争力の強化を妨げている原因として挙がっている識者も少なくない。 本書はどのようなところで「ミッシングリンク」があるのか、そしてそれを解消するための処方箋とは何かについてを提言している。 1章「機器とサービスはつながっていない」 簡単に言えば携帯電話・スマー […]

原発社会からの離脱――自然エネルギーと共同体自治に向けて

シリーズ「「宮台真司」の思考を解剖セヨ!」第5弾は「原発」である。昨今では「脱原発」の風潮が強く、衆議員総選挙における各党のマニフェストをみても「異口同音」ながらも同じような声明を出している。 いずれは「原発」から脱し、自然エネルギーの開発を模索すべきであるが、その「原発」から脱すること、そして電力独占や官僚支配からいかに脱するかを前大阪市特別顧問の飯田哲也との対談で解き明かしている。 1章「それ […]

歌舞伎座の怪人

中村獅童と言えば、「ピンポン」や「硫黄島からの手紙」などの映画に出演している人気俳優のイメージが強い。しかし本当は「萬屋」の屋号を担う歌舞伎役者である。もっというと本当の名跡は「二代目 中村獅童」である。先代は3年前に亡くなった獅童の父である。 その獅童は父であるが、その父は歌舞伎役者をデビューしてから間もないときにきつい小言を言われたことに逆上し、鬘を投げつけて梨園を去り、映画俳優として大成した […]