めざすは貧困なき世界―政府と市民の国際開発協力

日本における「貧困」と世界における「貧困」は異なる。日本における「貧困」は、「格差問題」などの所得や雇用によるところから生じるものであり、世界は戦争における難民など、もしくは強固な資本主義や独裁主義などから生じるものである。もっともよく似ている意味合いであるが、貧困の「質」そのものに違いがある。 本書は世界的にも「貧困」をなくす機関を担う「国際開発協力」の活動について紹介するとともに、「貧困」その […]

若者の労働運動―「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学

昨今「貧困」や「格差」に関して中心に挙げられているのは私達若者世代である。そういった世代の労働運動も昨今耐えないが、その意見は二部している。本書のサブタイトルにあるのだが、かたや「働かせろ」というもの、かたや「働かないぞ」としているものその二つが挙げられる。本書では昨今の若者労働事情、そして労働環境の変化、そして労働に関する考え方の変化について社会学の観点から考察を行っている。 第1章「労働社会の […]

ひきこもりと大学生―和歌山大学ひきこもり回復支援プログラムの実践

「ひきこもり」と呼ばれた現象は1970年代から叫ばれはじめ、1990年頃には社会問題にまで発展した。そのひきこもりを解消すべく、行政・民間問わず様々なプログラムがあるが、本書もその一つであり、和歌山大学が1991年から引きこもりにまつわる研究を行い、2002年に開発した引きこもり回復支援プログラムについてまとめている。 第一章「ひきこもる若者」 なぜ若者は「ひきこもる」のか。 その根本原因は第五章 […]

IT帝国の興亡~スティーブ・ジョブズ革命

昨年の10月にAppleの創業者であり、CEOであるスティーブ・ジョブズ氏が急死した。彼の死は世界中で大いに報道され、IT業界のみならず全世界が悲しみに包まれた。ライバルだったビル・ゲイツやマイケル・デルなどから哀悼の意を示したほどである。 本書はITの潮流をつくった立役者の一人であるスティーブ・ジョブズの革命とはいったい何なのか、ジョブズの波乱の歴史とともに考察を行っている。 第一章「歴史をつく […]

首長パンチ―最年少市長GABBA奮戦記

佐賀県武雄市 齢42を迎える市長がいる。その市長は官公庁、武雄市長の人生の中でまさに「パンチ」を浴びせられ続けた市長であったという。 著者の42年間の半生を綴るとともに、武雄市長としての今後の意気込みと、武雄市の未来への思いも綴っている。 第一章「沖縄のおばあに泡盛をかけられた」 いきなり衝撃的なタイトルである。 著者は大学卒業後、総務庁(現:総務省)に入庁した。しかし慣れない「霞ヶ関ルール」が仇 […]

花の冠 ~ 震災から一年、今も咲き続ける絆と言う名の「花」

―2011年3月11日 14時46分 日本全土が揺れ、東北で大津波に遭い、多くの命が失われ、家々も失った。 「安全」といわれた原発もメルトダウンを起こし、故郷を失った人々もいる。 地震や津波、それはありとあらゆるものを失ってしまう。 その失ったところに咲く一輪の花。 その花はやがて大輪の花へと広がり「花の冠」となる。 そこには「津波」も「地震」も、「震災」も「がんばろう」もない、 心に花を咲かせる […]

海の石

彼女は「石」のように何も動くことができなかった。 そう、筆談に出会うときまでは。 未熟児として生まれ、様々な病を併発し、命の淵に立たされ続けた。 しかし、筆談に出会ってから、かすかな光が見えた。 暗闇の海に見える、一筋の光のように。 病床の中で出会った筆談、 そこからいのち、言葉、自分、感情、家族・・・ 様々なことを「詩」という名の命を吹き込んだ。 「石」は他人の力で無ければ動かない。 しかしその […]

精神の哲学・肉体の哲学~形而上学的思考から自然的思考へ

「哲学」はどのような学問なのか。端的に言うと、 「問題の発見や明確化、諸概念の明晰化、命題の関係の整理といった、概念的思考を通じて多様な主題について検討し研究する、学問の一分野」(wikipediaより) という。この説明だけではどれを題材にしているのかはわからないが、もっとも数学も心理学も「哲学」から派生したことを そして「哲学」そのもののあり方も時代とともに変わっていき、古代ギリシャ時代にて活 […]

何度でも君に温かいココアを

季節は春になりつつあり、寒さも和らいでいくが、ついこの間、真冬に逆戻り。東京では雪が積もるほどだった。まだまだ寒い今日この頃は温かい飲み物がよく似合う。 ちょうどこの書評をしていた時、奇遇にもそのときに飲んでいたのが温かいココア。チョコレートのような甘さでありながらも、体の芯から温まる。チョコレートは脳に良いと言われているが、ココアもその一つといえるのかもしれない。ココアを飲みながらの書評をすると […]

すごい和食

今でこそ「日本食」は世界的にも認知されている。しかしそれを生み出した国である日本では、日本食離れが著しいという。その一方でアンチエイジングやダイエット効果などが解明されており、再評価の動きも出てきている。 本書は「絶倫食」でおなじみであり、「食の冒険家」として知られる小泉武夫氏が和食の凄さについてコラムとともに力説を行っている。 第1章「和食はこんなにすごい!」 日本人は「水」と「粒」を食べる民族 […]