お行儀の悪い神々

ギリシャと日本の共通点、それは財政的に逼迫している所にある、という生々しくも、物騒な話はしない。もう少しきれいな共通点では神話により多数の神々が誕生したことでも知られている。ギリシャと言えば「ギリシャ神話」があり、日本にも「古事記」や「日本書紀」で出てくる日本神話がある。 本書の話であるが、ギリシャ神話に出てくる神々がもし現代のロンドンで生活をしたらどうなるのか、を投影した一冊である。 もしもゼウ […]

民具学の基礎

「民具」とはそれぞれの地域の慣習によってつくられた道具、もしくは家具のことであり、大蔵大臣を歴任した民俗学者の渋沢敬三によって名付けられた。日本には地域によって様々な民具が誕生し、使われてきているが、本書ではその民具がいかにしてつくられたのか、という歴史的、あるいは地理的な観点などを織り込みながら考察するとともに、「民具学」という新たな学問の礎を築いた一冊である。 一.「民具研究の軌跡」 「民具」 […]

なぜうつ病の人が増えたのか

おそらくバブル崩壊してから「うつ病」が急激に増えており、社会問題にまで発展している。「うつ病」などの「心の病」に関する本はいくつか読んでおり、それに関して様々な収穫があった。本書は「うつ病」の増加に関してスポットを当てている。 第一章「うつ病患者が増えている」 「うつ病」という名前はバブル崩壊以前から使われていたのだが、使う頻度が増えたのはバブルが崩壊された頃からであり、急速に増えたのは1999年 […]

私のおとぎ話

宇野千代氏は小説家である一方で服飾デザイナーや編集者、実業家など「多芸多才」を地で行くような方であり、さらに数多くの男性遍歴を持つ、といった波乱の人生を歩んで行った方で有名である。本書には同じ小説家の瀬戸内寂聴氏の推薦文が記されているが、数多くの男性遍歴がある、波乱にまみれたという点で通ずるものがある。 小説としてはそれほど多くなかったものの、自らの人生をモチーフにした作品が多く、惹きつけるものが […]

人生に悩んだら「日本史」に聞こう 幸せの種は歴史の中にある

最近「歴女」がブームになっているのだという。 確かに日本・世界のみならず「歴史」はこれまでの日本や世界を知る上で大事なことである。 私も書評を介して歴史を学んでいる身であるが、とりわけ日本史は日本人としてどのような道を歩んできたのか、がよくわかる。 本書は人生に悩んだときの処方箋としての「日本史」を紹介しているが、歴女歴なんと30年にも及ぶ方が、歴史上功績を残した人物の様々な生き方を6つのカテゴリ […]

哲学で解くニッポンの難問

日本の政治のみならず、社会全体で様々な「問題」を抱えている。「問題」によってはすぐに解決できるものもあれば、いつまでも解決の道筋のたたない、いわゆる「永遠の課題」といえるようなものもある。 本書はどちらかというと「後者」といえるようなものを「哲学」の観点から紐解いている。章立てを見てみると、根本的な話題が多く、むしろ「哲学」でなければ読み解くことができない問題ばかりである。ちなみに本書はお悩み相談 […]

日本人が知っておきたい森林の新常識

環境問題の中でも森林は重要な役割を担っている。もっとも二酸化炭素を吸収するものとしている。森林の大切さの理由の一つとして挙げられるが、本書は森林にまつわる常識のウソを突きつつ、人と自然との「共生」を図っていくための森林の役割を伝えている。 第一部「「森林の常識」にはウソがいっぱい」 いきなり衝撃的な章である。地球温暖化の切り札としてある森林だが、二酸化炭素の吸収や天変地異の役割としての「森林」があ […]

海の向こうに本を届ける

日本の出版物を海外に届ける仕事。 出版物を届けることに日本は何の役割を持っているのだろうか。本書はその出版エージェントを日本で初めて勤め、そして約40年にわたってその役割を担い続けた女性の半生を本書では描いている。 1.「商社から出版界に」 著者ははじめから出版界にいた人間ではない。当初は日本の商社に勤めていたのだが、その仕事に悩んだとき、マックス・ウェーバーの本でアメリカの出版社に興味を持ちはじ […]

ニュースではわからない欧州危機のゆくえ

洋泉社 様より献本御礼。 欧州危機に関するニュースは新聞やTV、ネットなどでも叫ばれている。しかし日本での関心事かというと、そうではあるが、最優先事項とは言えない。しかしギリシャを発端とした経済危機はEU内全体に発展するどころか全世界、とりわけ先進国において影響を与えているのは間違いない。これ以上悪化すると日本人の生活にも悪影響を及ぼしかねない。 本書ではそういった金融危機についてのカラクリを解き […]

昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ

「昆虫」というと、小さい頃の夏休みには昆虫集めにはまった人も少なくないだろう。私はどうか、というと小さな虫でも身をよじるほど虫が大の苦手であったため、昆虫集めはやったことがなかった。 そのような自分が本書を紹介するのもおこがましいが、本書は昆虫の進化と特性、さらには今日の環境問題の関連について考察を行っている。 第1章「昆虫とはどんな生物か」 「昆虫」と一括りにしてもいろいろいるのだが、生物学上で […]