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ミステリー

地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険

本書の主人公は警察官だが、33歳と若い。しかもシングルファザーで小学5年生の子どもがいるという、いわゆる「なんじゃこりゃ」と言うような状況だが、実はここには家族・親族の悲しい背景があった。 見るからに荒唐無稽のような設定であるのだが、事情もありつつ、なおかつAIの技術が用いられており、奇想天外な「事件」へと発展して行く。ただ、この事件を紐解いていくと、なぜこのような奇妙な生活になったのかが良く分か […]

月の淀む処

よくスーパーに行くと安売りしている商品には「訳あり商品」といったものがあり、住宅情報や不動産屋のところでは「訳あり物件」なるものが存在する。 本書で紹介される「マンション」は築40年で年季も入っているのだが、ある種「訳あり」という感がある。よくある「訳あり」は設備が古くなっているといった種類や、近くに墓地があるといったわかる側面から、あらかじめ「告知事項あり」といったもので仲介業者、あるいは貸主か […]

虎を追う

今年のプロ野球セリーグのペナントレースは虎が首位を固めているが、それを追っているのは巨人である。そのため虎を追うのは巨人である。(2021年8月10日現在) しかし本書はそうではない。本書で表している「虎」は阪神ではなく、とある連続殺人事件の冤罪疑惑を晴らすべく捜査した際に、謎の小包が届く、そこに書いてある名前が「虎」といった謎の名前である。 事件解決もあるのだが、冤罪を晴らすといった側面もある一 […]

緋い川

「赤」という漢字は、使いようによっては「紅」にも、「緋」にも、「朱」にもなる。なぜ本書はタイトルで「緋」を使ったのか、物語の仲にあるように見える。 本書はと言うと明治時代の話であり、とある山村集落において起こった事件を取り上げている。その山村で流れる川には動物どころか人間の死体が血と共に流れるところから物語が始まる。もっともこういった話を見ると、狂気の沙汰の部分があり、都会の世間と大きくかけ離れた […]

燃える水

決してアニメ化・実写映画化されたマンガによく出てくる、「可燃性の水」の事を表している作品ではない。(映画では登場回数漫画史上No.1と標榜しているが) それはさておき、本書の舞台はとある中小電機メーカーであるが、その会社員が遺体で見つかった所から物語は始まる。しかしその事件の謎を紐解いていく内にメーカー全体を含めて、リストラ・廃業などが起こった。 しかもライバル企業の魔の手など、会社という「枠」を […]

カッコウの微笑み

ハッカーの事件は後を絶たない。大手の会社への不正アクセスのみならず、そのデータを盗むどころか、ランサムウェアを入れて、身代金を出させるような行為まで及んでいる。対象は全世界にまで広がっており、日本の企業でも実際に被害を受けているケースも存在している。 さて本書の話だが、主人公はハッカーとしての裏の仕事を行っているのだが、依頼を受けて製薬会社へハッキングを行いデータを盗むといった事を行った。しかしそ […]

眠りの神

本書のタイトルは「眠り」と言っても「永眠」の方で、いわゆる「死」を幇助するといった事件を描いたミステリー作品である。当ブログでも何度か「尊厳死」や「安楽死」といったものを取り上げてきたのだが、本書はそれを小説の舞台にしている。 あくまで創作なのだが、「尊厳死」とは何か、「死ぬ権利」とは何か、そのことを考えさせられ、なおかつ海外では安楽死や尊厳死が認められている事例を引き合いに出しながら描かれている […]

首イラズ 華族捜査局長・周防院円香

大正時代となると「大正ロマン(浪漫)」と呼ばれる文化事象や思潮があった。日清・日露戦争の戦勝や第一次世界大戦の参加によって、参加によって国そのものが先進国の仲間入りとなりつつあった時代であり、国家的にも「大正デモクラシー」といった民主化の運動が起こり、日本における民主主義の土台がつくられつつあった。その一方で関東大震災といった憂き目もあった。 その大正時代を舞台とした作品は数多く、有名どころでは「 […]

前夜

山奥や僻地と行った所の場合は古い慣習が残っている所が多くある。その「慣習」自体が、外から見れば、ある種非現実的、あるいはファンタジーといった要素が絡んでおり、本書は、慣習をもとにした「ファンタジー」がある。 ちなみに本書は「ミステリー」でありながら「ファンタジー」の要素が色濃くある。山奥の集落にある別荘が舞台となっているが、そこにはある「吸血鬼」の伝説があるという。 殺人事件が起こるのだが、吸血鬼 […]

光二郎分解日記 西郷さんの犬

本書に出てくる「光二郎」はおじいちゃんである。元々理科教師で、理科の実験として分解をすることが趣味という人であるが、定年退職をして隠居後はどのようなものを分解したのか、掘り下げてみたいのだが、掘り下げていけば行くほどマッドサイエンティストのイメージができてしまうためここでは省略をしたい。 さて、本書の話に移る本書は親子が探偵隣、事件を解決するミステリー作品であるが、ミステリー作品というとけっこう事 […]