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人生

ママナラナイ

本書のタイトルにある「ママナラナイ(ままならない)」は辞書を引いてみると、 思いどおりにならない。自由にならない。「大辞林 第四版」より とされている。人生はどうしても思い通りに行くことはなかなか難しい。そう考えると誰しもが人生は「ままならない」とも言える。 それはさておき、物事にしても「ままならない」とおもえることがたくさんある。本書の主人公は不動産会社に勤めているのだが、仕事にしてもプライベー […]

商店街のジャンクション

よく着ぐるみで踊ったり、アピールしたりするようなものを見かける。本来であれば「中身はない」と言うことが失礼に当たらないのだが、ある映画ではキャラクターの着ぐるみに中身がバレたり、テレビ局のマスコットの着ぐるみは、中身だけでなく、外見までボコボコにされたりといったのもあった。 それはさておき、本書は犬の着ぐるみの存在と、それにまつわる3人の男女の日常を描いている。男女3人とも着ぐるみを着るのだが、い […]

われらの世紀 真藤順丈作品集

「戦い」と言う言葉は戦争だけに扱われる言葉だけではない。スポーツにしても、過酷な運命に対抗するときも、自分自身の精神と身体を賭しても「戦う」姿がそこにある。 本書はその「戦い」と、戦いを通じて、生きていく姿を描いた短編集である。 方や第二次世界大戦の中での「戦い」、方や民族の誇りを賭けた「戦い」、方や芸道の高みへ登るための「戦い」とそれぞれの立場からの「戦い」が記されている。 短編集であるだけに、 […]

浄土双六

ここ最近では遊んでいないのだが、「双六(すごろく)」はけっこう面白いゲームである。運や駆け引きなどがあり、どうなっていくのかと言うのがとても面白い。テレビやスマホゲームの世界でも桃太郎電鉄をはじめ、多くの双六ゲームが世に出ており、親しまれている。 さて本書である。本書は室町時代後期に天皇のお膝元である京の都にとある双六をもとにして極楽を求めるという些か風変わりな作品である。章ごとに同じ舞台ではある […]

AV女優の家族

「AVに関わっている」と言うだけで偏見を持たれることが多くある。メディアでも取り上げられるのだが、その頻度はわずかなものである。その一方で、ここ最近ではアイドル視されているような感があるという。そのAV女優たちの現実と信念、そして家族たちはどのような想いなのかを取り上げているのが本書である。 Chapter1「白石茉莉奈」 白石茉莉奈は既に結婚しており、家庭も持っている。しかしその夫に隠して仕事を […]

地先

人生はまるで航海のようだという人もいる。人生はまるで大地の果てを目指して歩き続ける旅のようだと言う人もいる。本書はその中でも後者を比喩しているような気がしてならない。 人生には様々な歩みがあり、なおかつ恋愛、仕事があり、そして希望や成功、挫折なども体験する。その体験を通して、人生という地続きの道、そしてその先にあるタイトルの如く「地先」が見えてくると言うことを著した短編集である。 本書のタイトル自 […]

たそがれてゆく子さん

人は誰しも老いて、やがて死ぬ。そんな当たり前なことなのに、なかなか受け入れない、あるいは受け入れたくない人も少なからずおり、かくいう私も時折そのような感情に陥ることがある。 人として老い、そして生きていく中での「別れ」をどのようにして接していくか、生きている人それぞれに課せられた課題なのかもしれない。もっともその課題には正解がなく、なおかつ追い求めながら老いていく姿がどうしても目に浮かぶ。 ただ「 […]

ブッダの獅子吼 原始仏典・法華経の仏教入門 ―マインドフルネスの先を行く、釈迦の真の悟りとは?

本書のタイトルである、「ブッダの獅子吼(ししく)」は、 ブッダが、自信をもって、ライオンが吼えるように、声を響かせながら教えを説いているp.2より とあり、実際に「ディーガ・ニカーヤ(長部)」と呼ばれる経典にも言及されている。本書ではブッダの「法」と呼ばれる教えを紐解いているのだが、ブッダの法自体は膨大であり、なおかつ法の中には日本人の生活にそぐわないものもある。そのため、日本人の生活に合わせて取 […]

マックス・ヴェーバー――主体的人間の悲喜劇

昨日取り上げた評伝は生涯をもとにした合理性や官僚制が中心となったのだが、本日取り上げる本書は評伝の中でもサブタイトルにある「主体的人間」といった所が中心となる。またもう一つの要素としては「闘争」と言ったものが挙げられる。「主体的人間」と「闘争」、この2つの要素は生涯の中でどのようにして形成付けていったのか、本書は生涯をもとにして追っている。 第一章「主体的人間への成長 一八六四‐一八九二年」 ヴェ […]

生きるための図書館―一人ひとりのために

私はほぼ毎日のように書店に行くだけでなく、週に何日かは図書館に足を運ぶことがある。書店などで買えないような本を読んだり、借りたりするようなことがあるためである。元々小学校の頃からずっと図書館に通うことがあった。時には本を借りる、時には勉強するなどの側面があるのだが、元々図書館は教養だけでなく、「生きる」という意味での図書館としてどのように利用されるか、そして地域に根ざした図書館作りなど、図書館の探 […]