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人間

穴あきエフの初恋祭り

人との距離と「コミュニケーション」、密接にあるものは、時として近づいたり、離れたりするようなことが往々にしてある。 本書はその距離とコミュニケーションの両方を描く7編の短編集であるのだが、そのコミュニケーションは同じ国や地域だけというものでなく、国を離れたり、さらには動物の垣根を越えたりするようなやりとりが目立つ。 特に表題作はエフという意味がかなり意味深であり、なおかつ外国人の名前を漢字で当て字 […]

ぬるくゆるやかに流れる黒い川

本書の表紙を見るにあたり、タイトル・装丁を見てもおどろおどろしさ満載であり、なおかつミステリーと言えるような作品のイメージがした。実際に本書の内容はその表紙のおどろおどろしさを裏切ることはなかった。 しかも本書のタイトルにも物語の核心に近いようなものがあり、なおかつ登場人物たちの感情があたかも「黒い川」と言う言葉に相応しいほどだった。ある2つの家族を殺した犯人が拘置所で自殺を遂げたのだが、その裏に […]

ブラックシープ・キーパー

「羊飼い」と呼ばれている異能力者たちとの戦いであったのだが、物語の舞台は札幌とかなり身近な場所であるが、あくまで「近未来の札幌」を描いている。 近未来というとSFの要素を持っているのだが、その中でも人間としての「愛」が描かれている。もっとも人物の中には人の愛を知らない冷酷さを併せ持った殺し屋だったのだが、その殺し屋の心境が変わった所の描写が何とも言えない。 近未来と言いながらも殺人描写もあるため、 […]

人間の偏見 動物の言い分 動物の「イメージ」を科学する

動物に対するイメージは人それぞれにあるのだが、時にはその「イメージ」が「偏見」としてもたれることも少なからずある。「偏見」自体も個人にあるものもあれば、世間一般において存在するものも少なくない。 その偏見に対して動物たちはどのようなメッセージを送り、人間と動物たちのイメージはどう形作られているのかを科学的な見地で論証しているのが本書である。 第1章「たくさんある動物にまつわる言葉」 諺・四字熟語な […]

猫は抱くもの

人と猫、一見接点がないように見えて、実は接点が存在する。そのことを示している一冊と言える。 猫も人間も何人・匹と出てくるのだが、それぞれの物語があり、それぞれ人と猫との関わりが人間と共有するところ、共感するところ、相反するところなど様々である。さらに関係の中にはハートウォーミングなエピソードまであり、人と猫との関わりの良さがものの見事に描かれている。 そのためか本書のタイトルのようなことはまさにそ […]

2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生

株式会社オトバンク 上田様より献本御礼。 タイトルからして素っ頓狂のような印象を持ってしまうのだが、今から30年後の日本を予測している一冊である。今から30年前、私たちの生活の30年後、つまり2019年にはどのような形になっているのかという予想があったかもしれないのだが、おそらく完全にあたった人はいない、もしくはいても何人かくらいであろう。 本書もその類いなのかもしれないのだが、もっともEUは「欧 […]

欺きの童霊 溝猫長屋 祠之怪

怪談というと怖いイメージがあり、これから寒くなるシーズンとしてはますます背筋が凍ってしまうような状況にもなりかねないので「季節外れ」とも言えるような話かもしれないのだが、本書で紹介される怪談は怖いというよりも「面白い」「心温まる」といったいわゆる「怪「綺」談(かいきだん・怪談と綺談を合体させ、怪談でありながら面白く織り込まれた物語)」と言えるような一冊である。 とある長屋にて亡くなった人の祠(ほこ […]

まれびとパレード

人生を変えるきっかけは人とは限らない。それがものであったり、ことであったり、人間ではないものであったりすることも往々にしてある。 本書は4編にて別れているいわゆる「中編集」であるのだが、それぞれゾンビや座敷童、泥田坊、邪鬼と人間あらざるもの、いわゆる「まれびと」と呼ばれるものとの出会いによってどのように変わっていったのか、そのことを物語とした一冊である。 主人公は人間であるのだが、相手は過去に人間 […]

世事は煙の如し 中短篇傑作選

本書のタイトルの一部である「世事」とは、 「1.世の中の事。処世の事。  2.僧が、通常の食事以外にとる食事。  3.世帯のこと。家事。また、食事。」(「広辞苑 第七版」より) とある。食事という意味合いが多いのだが、実際には「家族」や「世帯」といったものがあり、男女の関係を表している。男と女の関係は全く関係ないように見えて恋人同士や夫婦など、紐解いていくと色々とある。 本書は男女関係を基軸にした […]

人間の値打ち

人間には色々な「値打ち」があるという。その値打ちを決めるのは周囲なのか、じぶんなのかはわからない。しかしその値打ちを知ることは果たして必要なのか、そしてそれを自分・他人が下すことによって心的な病を持ってしまうことにもなりかねない。果たして価値や値打ちを持つべきなのか、そうなるのであればいったい誰がそれを決めるのか、そのことを論じている。 第一章「人間の「値段」と「価値」について」 人間としての価値 […]