TAG

家族

セゾン・サンカンシオン

「三寒四温」とは、 三日ほど寒い日が続いた後に四日ほどあたたかい日が続き、これを交互にくりかえす現象。中国北部・朝鮮などで冬季に見られる「広辞苑 第七版」より とある。日本にはおそらく縁遠い四字熟語であり、強いてあるとするならば春か秋くらいかもしれない。夏だったら「七暑」、冬だったら「七寒」と言った方が良いかもしれない。 それはさておき、三寒四温は季節の部分の他に、人のモチベーションの所でも意味合 […]

日映りの時

本書は「無戸籍」の子どもの姿を取り上げている。無戸籍に「無戸籍の日本人」「日本の無戸籍者」などの本を取り上げたのだが、ようやくドキュメントやニュースなどで取り上げられ、日本でもやっと国会で取り上げ始めたところである。 無戸籍であることの原因は様々な要因があるのだが、かつては繊細によって無戸籍にあること、そして本書の物語で取り上げているように、家庭の事情(DVなど)により、戸籍が得られなかったケース […]

ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)―GAFA時代の人生戦略

本書はニューヨーク大学にて5000人もの人が受講し、100万人以上の人々が視聴した人気講義である。GAFAと呼ばれる企業群が席捲する中で、私たちはどのような人生を送ったら良いのか、幸せになれるのかといったことを4つの講義にして伝授している。シンプルかも知れないのだが、非常に大切なことである。 第1講「幸福の講義―激変する世界で幸せになる」 幸福は人それぞれである。また幸福の定義については年を取って […]

僕の母がルーズソックスを

本書のタイトルだけを見ると「キツい」や「ムリすんな」を連想してしまう。もちろんそれが似合う年齢であればそうは言わないのだが。 本書は主人公の母親が本当に「17歳」(後に「おいおい」という声優ではない)になった所から始まる。別の物語では大の大人が子どもになってしまったという話があるのだが、本書は母親がギャルになってしまったという奇想天外な物語である。 しかしそのギャルになった母親に困惑した息子が、母 […]

戻ってきた娘

本来であれば考えられないエピソードかも知れない。しかし国や時代によってはそれがごく「当たり前」にあった時代なのかも知れない。ある意味「身売り」のようなエピソードであったのだが、「家族」とは何かをこれほどまで考えさせられるような事がなかったと言える。 少女にしても少年にしても、幼い頃は「多感」な時代である。その多感な時代を「大人の都合」により、奪われてしまうことも少なくない。 しかしながら主人公、そ […]

イノセント・ツーリング

よく巷にある小説は近未来や過去などを描いている所がほとんどだが、本書ほど現在の状況をもとにした作品はないと考える。コロナ禍の第一波がやって来て、1回目の緊急事態宣言が発令され、閉塞感漂うような日常から開放され、ようやく初夏を迎えたときに、止まりかけていた日常を探し求めるためにツーリングを行うという作品である。 しかしこのツーリングにはコロナ以外にも理由があった。それは若くして命を失った親友の家族と […]

すべての愛しい幽霊たち

「幽霊」と言うと「怪談」を連想してしまうのだが、本書はそれとは大きく異なる。「幽霊」であるのだが、家族の「幽霊」であり、幽霊になってしまったことによる、家族に対する「喪失感」を描いている。 家族というと、家族模様それぞれ異なるのだが、多くは心の支えもあれば、大切な存在と言った意見もある。本書の主人公の一人に芸術家がいるのだが、既に年老いており、家族も失い、だんだんと孤独感を増していった。さらに他に […]

組曲 わすれこうじ

著者は、7年前に芥川賞を受賞したのだが、受賞年齢が最高齢であり、現在も破られていない。元々小さいころから物語を描き始め、26歳の時に「毱」でデビューしたが、その後は執筆はしているものの、表には出ておらず、ようやく出てき始めたのは2010年代に入ってからのことである。 現在公に出ている点では「寡作」と言う分類に入るのだが、一つ一つの作品が短編であることが多く、一編一編が不思議なつくりをしており、不思 […]

おっぱい先生

本書のタイトルを見ると卑猥なイメージが持たれるかもしれないが、本書は妊娠・出産後の母乳育児に関しての外来として「母乳外来」があり、その外来の先生が通称として本書のタイトルとしてあるのだという。 男性の側からすると性的な象徴の一つとしてあげられるおっぱいであるが、女性にとっては出産や子育て、特に乳児の子育ての中で最も重要な器官として存在する。 おっぱいを通しての出産・育児について悩みなどを抱える女性 […]

若旦那のひざまくら

恋愛を「織りなす」と言う言葉を見事なまでに表現している一冊である。 本書はあるデパートのバイヤーが京都にやって来て、京都の伝統的な織物である「西陣織」の織屋の若旦那と出会ったことから物語は始まる。和服への普及に燃えるバイヤーと織屋の関わり、やがてそれは恋愛へと発展したが、そこに多くの壁があった。 京都弁で「いけず」と言う言葉があるのだが、「憎たらしい」や「意地悪」といった表現もあれば、「いけずな人 […]