TAG

哲学

人間の自由と物語の哲学―私たちは何者か

小説をはじめとした物語の中には登場人物がおり、周囲の人びとと織りなすことが多い。もちろん中には人間一人が出てきて、周囲の事象との関わりを描くケースもある。 もっとも登場人物たちにも、それぞれのアイデンティティがあり、なおかつ哲学があるのだが、本書は小説における登場人物を哲学的にどのよに捉えているのかについて考察を行っている。 第一部「哲学から小説へ―自由と主体をめぐる原理的探究」 小説において、登 […]

ジョン・ロールズ-社会正義の探究者

今でこそ、政治哲学の議論は盛んに行われているのだが、アメリカでは第二次世界大戦直後は盛り上がりに欠けていた。イギリスの哲学者であるアイザイア・バーリンでさえ論文で吐露するほど停滞した政治哲学の世界に大きな風穴を開けたのが、本書で紹介するジョン・ロールズである。 元々アメリカ陸軍の兵士として第二次世界大戦の戦地を渡り歩いたのだが、なぜ彼は兵隊を辞めて政治哲学に風穴を開けたのか、ロールズの生涯と共に追 […]

時間は存在しない

「時間」と言う概念は、哲学的にも長い間問われ続けている命題である。もっとも私たちの生活の中で「何時何分何秒」というように多かれ少なかれ「時間」を意識しながら生活を送っている。その生活についてどのようにとらえるべきか、哲学者によってもまちまちである。 そこで本書である。本書は物理学的な観点から時間そのものは存在しないことを主張している。なぜ時間は存在しないのかその根拠を掘り下げている。 第一部「時間 […]

AI時代の労働の哲学

「労働観」や「労働哲学」の変化は時代と共に変わってきている。特に新型コロナウイルス感染拡大により、労働のあり方は急速に変わっていった。それ以前にも在宅やリモートを含めた「テレワーク」の概念の誕生と拡大によること、さらには日本・海外に関しての労働的な事故・事件などもあったことで、変化をしている。日本ではできているかどうかは不明だが「働き方改革」が印象的である。 さらに働き方というと技術革新によるとこ […]

ジャック・デリダとの交歓 パリの思索

ジャック・デリダは20世紀~21世紀にかけて活躍した現代哲学を代表する人物の一人である。フッサール現象学から出発し、ハイデガーの哲学を批判的に考察を行った人物としても有名である。 本書の著者は言語学・哲学者であるが、フランス留学を長らく行っており、その中で実際にジャック・デリダとの交流があった。その交流の中で著者自身が見てきたデリダの哲学とは何かを綴っている。 第1章「出会いから最初の発表まで」 […]

問いの立て方

「問い」というと、テストなどの問題を連想してしまうのだが、本書で言うところの「問い」は、様々な研究において、考えるべき「命題」という意味合いが強い。特に哲学の側面ではこの「問い」に対して、どのような答えを結びつけたら良いのかがあるため、答えを良くする前に、「いい問い」と呼ばれる、考察や回答の側面で答えやすい、あるいは深い答えを導き出すための「問い」を出すことが求められる。 そう考えるとある種の「質 […]

自分というジレンマ―批判・反抗・反問する私たちの射影

哲学というと、自分そのものの「アイデンティティ」とは何かについて問われることが数多くある。そのアイデンティティは時として「ジレンマ」として出てきて、さらなる疑問が生じてしまう。本書はそのジレンマとは何かについて「主体性」「一貫性」「仲間感」といった3つの要素にフォーカスを当てて取り上げている。 1章「主体性のジレンマ なぜ反抗するとスカッとするのか」 主体性は簡単に言うと、自らの意志で考え、行動す […]

尊厳―その歴史と意味

本書のタイトルにある「尊厳」は辞書で調べてみると、 とうとくおごそかで、おかしがたいこと「広辞苑 第七版」より とある。優しく紐解こうと思ったのだが、実を言うと哲学上最も難しい事柄の一つであり、なおかつ人間として生きて行くに当たっての重要な要素でありながら、どこまでが「尊厳として成り立つのかがわからない。しかも「尊厳」と言う言葉は、知られている者として人間としての死ぬ権利の一つである「尊厳死」とい […]

哲学しててもいいですか?―文系学部不要論へのささやかな反論

大学にまつわる議論の中で「文系不要論」と言ったことをよく聞く。文学部や哲学部などを不要とする議論であり、2014年の文科省の「国立大学法人評価委員会」の中で出てきたことである。この議論が出てきてから賛否両論が相次いだ。もちろん否定的な意見も多く、かくいう私も文系、もしくは文系学部が不要というのはいささか暴論過ぎると考える。 本書もその議論についての反論的な一冊というようなサブタイトルを名しているが […]

時間とテクノロジー

元々「時間」という概念が生まれたのはいつ頃なのかは誰にもわからない。人類が生まれた時なのか、それとも地球そのものが生まれた時なのか、あるいは宇宙が誕生したときなのか、論者によって考えは異なる。 また、哲学とは異なるものの、「時間」に関する考え方は「技術」の進歩と共に変わっていったとも言える。ではどのような変化があったのか、本書では技術、物語などのカント年から取り上げている。 第一章「鮮明な過去はつ […]