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文化

センス・オブ・シェイム 恥の感覚

アメリカの人類学者であるルース・ベネディクトが上梓された本の中に「菊と刀」という本がある。これは1946年、ちょうど大東亜戦争が終わって1年後に上梓されたもので、日本の文化についてを説明した一冊である。その中に日本には「恥の文化」と定義されたのが有名である。当ブログでも民俗学について取り上げているが、「恥の文化」についても別の本でいくつか取り上げたことがある。 それはさておき、日本人には恥の文化が […]

オッペケペー節と明治

時代において様々な「流行」が存在するが、本書で紹介するのは「オッペケペー節」と呼ばれるものである。今となっては奇天烈な印象を持たれるが、実はつくられたのが1889年(明治22年)であり、そこから上方落語の舞台から東京へと広がり、やがて全国に広まった歌である。またわずかにではあるものの、音源・動画も残っているほどである。 なぜ「オッペケペー節」が生まれ、関西を起点に流行していったのか、そしてそれにま […]

食虫植物の文化誌

「食虫植物」は珍しいようでいて、なかなかお目にかかれない。しかし国内外問わず、類があり、美しい食虫植物も存在する。その一方で、映画や小説などでは「人喰い植物」の題材として扱われることもしばしばある。 そもそも食虫植物はどうして存在してきたのか、またどのような進化を遂げ、なおかつどのように捕食を行っているのか、本書はめくるめく食虫植物の世界を取り上げている。 第1章「食虫植物とは」 「食虫植物」は、 […]

モダン語の世界へ―流行語で探る近現代

日本語に限らず、「言葉」そのものは常々変化する。しかしその変化に許容せず、批判的に見たり、主張したりして「日本語の乱れ」といった主張ができあがる。「日本語の乱れ」自体は清少納言の「枕草子」の時代からあり、今も昔も存在している。 しかし日本語も戦前、戦後と時代と共に変化している。本書は今となっては死語である「モガ」「モボ」が登場した1910~30年代、ちょうど明治末期から昭和初期にかけて、識字率が向 […]

甦えれ 資本経済の力

資本主義経済は死んでいるかというと、実際にはどうなのかはわからない。ただ、少なくとも、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめとした経済環境の変化が多く起こっていることは間違いない。そのような環境の中で、資本経済の復活の道はあるのか、そしてそのためにはどうしたら良いか、そのことを提言しているのが本書である。 1.「<資本>とは何か」 そもそも「資本主義」の「資本」は何かというと、 ① 事業のもとでとな […]

「くだらない」文化を考える ネットカルチャーの社会学

文化は進化する一方で、廃れるものもある。それはネットでも同じ事である。私が大学生の頃に流行した「フラッシュ動画」も、YouTubeやニコニコ動画誕生と共に、衰退し、2020年にAdobe Flashがサポート終了するまでになくなった(元々あったのはYouTubeで一部視聴できる)。 他にも2ちゃんねるができて隆盛を極めたが、現在は5ちゃんねるへと変わった。ネットの文化そのものも変わっていった。その […]

幻の「カフェー」時代 夜の京都のモダニズム

私自身はよくカフェへ行く。勉強をすることが中心なのだが、世間話が聞こえる喧噪の中だと集中できる性質であるため、図書館で勉強するよりも捗ってしまう。もっとも高校の時からずっとそのような時分であったため、むやみに変えることは出来ない。もっとも一時期は仕事でも使ったことがある。 しかし本書は「カフェ」ではなく「カフェー」である。 カフェーは元々今ある「カフェ」と同じくコーヒーなどを出して歓談するようにな […]

医療倫理超入門

「医療」と「倫理」。この2つは交わらないようでいて、実は交わる部分がある。それは「科学」と「倫理」の2つが交わる理由とほぼ同じようにある。科学は進歩するのだが、その進歩は人間としての倫理を超えてしまい、批判を行うといった論調があると同じように、医療においても「生命倫理」の観点で進歩そのものを批判するといった論調がある。 では医療倫理とはいったい何か、そして医療と倫理の対立とこれからはどうなっていく […]

ロマネスクとは何か ――石とぶどうの精神史

「ロマネスク」と言う言葉自体は聞いたことがある方は数多くいるかもしれない。しかし根本的な意味を聞くとわからない方が多いかも知れない。「ロマネスク」とは、 中世、11世紀から12世紀中葉にかけて南フランスをはじめ西ヨーロッパ諸国に行われた建築・彫刻・絵画の様式。ゴシック様式に先だち、教会建築を中心とし、古代ローマやゲルマンの諸要素と共に、東方趣味の影響をも受けている「広辞苑 第七版」より とあり、中 […]

日本人とリズム感 ―「拍」をめぐる日本文化論―

リズム感は身体を動かしたり、演奏をしたりするなどの上で大切なこととされている。もっともリズム感は天性で得ているものもある一方で練習を行うことで身につけることができる側面も存在する。とはいえど、日本人とリズムとの関係は特殊であり、なおかつどのような変化を辿っていったのかは誰にもわからない。本書はその日本人とリズムにまつわることについて文化の観点から考察を行っている。 第1章「「ものおと」の気配」 リ […]