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時代小説

鷹の城

本書はタイムスリップものであるが、かなり意外なタイムスリップをしている。通常であれば、現代から戦国時代や江戸時代、あるいはその逆をイメージする方も多い。しかしながら本書は江戸時代の奉行所が戦国時代にタイムスリップする一冊である。 時代が近いとは言えども、時代が変わると文化や考え方も変わってくる。そのギャップを愉しむことができ、なおかつその時代においてある殺人事件に出くわすこととなる。殺人事件の全容 […]

紅蓮浄土 石山合戦記

信長軍に家族を殺され、そして生き残った少女の波乱に満ちた物語である。織田信長に復讐を果たすため忍びの道へ進んだ。 そしてそこでついに念願だった信長軍との戦いに参加するのであった。ちなみにその戦いは「石山合戦」、1570年~1580年と長きにわたってあった戦いである。摂津国大坂(現在の大阪城付近)に石山本願寺があり、少女は厳しい修行の末、本願寺護法衆の忍びとしての道を踏み出した。 その石山合戦は先述 […]

ぜにざむらい

本書は戦国時代、江戸時代にて活躍した武士、岡左内(おか さない・岡定俊の通称)を描いている。岡の逸話として利殖の巧さにより、多くの金銭を抱えていたことで知られており、その銭を戦の際に持ち歩く、あるいは多くの銭を敷き詰めて昼寝すると言ったことを愉しみとしていたという。本書の表紙にもその片鱗を見せている。 そう考えると守銭奴のようにも見えるのだが、会津征伐の際は当時の主君である上杉氏に銭を献上、同僚の […]

向島・箱屋の新吉

江戸の向島にて箱屋をしている男が主人公で、そこにて出くわした事件を解決するために奔走する一冊である。そもそも箱屋とは、 1.箱を造り、またはそれを売る家。また、その人。 2.御座敷に出る芸妓に従って、箱に入れた三味線を持って行く男。はこまわし。はこもち。はこ。「広辞苑 第七版」より とある。特に本書では2.の意味を指している。表紙にも男性が黒い長方形の荷物を持っているのだが、この中には三味線が入っ […]

火神子 天孫に抗いし者

時は弥生時代、卑弥呼と呼ばれる女性が当時の倭国の女王として君臨をした。本書はその卑弥呼が即位する前の時代から始まる。登美毘古と呼ばれる男性の王が即位して長らく安泰であったのだが、その時代もやがて終わりを迎える。実弟が何者かに殺害され、そこから戦いが繰り広げられた。その戦いは新たな国を建てるための戦争であり、戦争により多くの血が流れることが長らく続いた。 大王登美毘古は王家の血を絶やさないために一人 […]

地上の星

本書のタイトルを見ると中島みゆきの同曲を連想してしまうのだが、本書はそれとは無関係である。 本書は島原地方におけるキリシタンを取り上げている。島原と言えば天草四郎時貞が起こした1637~1638年の「島原・天草一揆」が有名であるのだが、本書はその一揆が起こる40年以上も前、戦国時代において豊臣秀吉が天下統一を成し遂げようとした時代における島原・天草における「乱」を取り上げている。そのためか歴史的な […]

御徒の女

武家という身分はどちらかというと高い身分であり、常に国・藩を受け持つ立場にあるのだが、そこの娘として生まれた女性はどう会ったのか、その姿を論じている。 毅然と言うか、大和撫子というか、その姿は「武家の娘」であることの矜持を持っているかのように、様々な苦難に対しても立ち向かっていた。 高い身分である一方で様々な「不条理」や「理不尽」が生じ、女性は面と向かうようなことも多々あったのだが、読んでいくうち […]

ひやかし

「ひやかし」と言うと商売をしている方々にとってはイヤな思い出しかないイメージがある。もっとも商売で購入しようとする人を求めているだけあり、お金を払ってくれるお客さまを求めるような人を求めるため単純に下見・物色だけしようとする人を表しているためである。 ちなみ本書はどのような「ひやかし」なのかと言うと吉原の女郎であるのだが、武士の娘と一見恵まれている身分に見えながらも、事件により地に落とされ、なおか […]

乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益

戦国時代を駆け抜けた人物は数多くいるのだが、その中でも忍びから重臣となった人物はほとんどいない。その中の一人に織田四天王の一人として挙げられ、武将や大名にまでなった滝川一益で(たきがわかずます)ある。 経歴から見て花を開かせたように見えるのだが、なぜ本書のタイトルに「徒花」と呼ばれたのか。もっとも織田氏の腹心として活躍した一方で本能寺の変以降は反豊臣として家康を結託したことがあったのだが、関ヶ原の […]

三人孫市

戦国時代には様々な人物が交錯している。その多くは武将であるのだが、本書のように「衆」と呼ばれる集団もある。本書では紀伊国(現在の和歌山県と三重県南部)で「雑賀衆(さいかしゅう)」と呼ばれる集団である。その頭目にあたるのが「雑賀党鈴木氏」であり、その中心的人物であるのが鈴木佐大夫(すずきさだゆう)である。 その佐大夫には主要な三人の息子がいた。その息子三人が本書の中心にあたる。三人の息子にはそれぞれ […]