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正義

ジョン・ロールズ-社会正義の探究者

今でこそ、政治哲学の議論は盛んに行われているのだが、アメリカでは第二次世界大戦直後は盛り上がりに欠けていた。イギリスの哲学者であるアイザイア・バーリンでさえ論文で吐露するほど停滞した政治哲学の世界に大きな風穴を開けたのが、本書で紹介するジョン・ロールズである。 元々アメリカ陸軍の兵士として第二次世界大戦の戦地を渡り歩いたのだが、なぜ彼は兵隊を辞めて政治哲学に風穴を開けたのか、ロールズの生涯と共に追 […]

小麦の法廷

新米弁護士が初めて刑事裁判の弁護人を務めたのだが、その事件はやがて大きな事件に巻き込まれるというものである。しかも「弁護人」と言う立場になったことにより、犯罪に加担しているのではないか、とメディアにも目を向けられ、中には罵倒というような言葉を受け取られるほどであった。 元々味方がいるような状況が合ったのだが、弁護人になったことを境に、被告を含めて完全に全て「敵」に回ってしまい、味方が自分以外完全に […]

正義の申し子

「正義」を振りかざすような人を見るといい気がしない。もっとも私は「正義」と言う言葉が嫌いである。その理由としては昨今のこともあるのだが、正義を振りかざすような人は自身の価値観を「正義」と捉えて、相手にぶつけるような印象が強く、ぶつけられた側からすると迷惑と思ってしまうためである。 その「正義」を振りかざす手段というと色々あるのだが、本書ではYouTubeで振りかざす様な人が悪徳業者との戦い・・・か […]

わたしが正義について語るなら

「アンパンマン」などで有名な漫画家・やなせたかし氏が昨年の10月13日に亡くなられた。94歳と、まさに「大往生」と呼ばれる人生だった。やなせ氏は漫画家のみならず、絵本作家・詩人・作詞家・イラストレーターなどマルチに活躍した。やなせたかし氏の作品というと、先程書いた「アンパンマン」は有名だが、私としては今から47年前に作詞された歌「勇気の歌」が非常に印象的だったことを覚えている。小学校のときに歌った […]

さもしい人間~正義をさがす哲学

「さもしい」と言う言葉はいったいどのようなものなのか。調べてみると、 「1.見苦しい。みすぼらしい。  2.いやしい。卑劣である。心がきたない。」(「広辞苑 第六版」より) とある。パソコンの進化により、様々な情報が手に入る、経済成長により、モノが豊かになる。しかし欲望のベクトルは「モノの豊かさ」から「心の豊かさ」に、しかも「快適」や「自由」、「便利」と言う言葉に踊らされ、自分の利益のために利益を […]

モンスター・シークレット

進展のない事件について最新の情報を手に入れようと正義感に燃える記者が話題収集のためにフランスに渡ったときから物語は始まる。 その物語はフランスに行く前まで追っていた事件との館錬成があり、「ナポレオン」や「摂政」などを手がかりに日仏双方から紡ぎ出される「ミステリー」に巻き込まれる。そしてフランスで知り合ったある鑑定医とともに歴史、証拠などを材料に真実を読みとっていく。 日仏の両国は言語や文学など異な […]

なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか

当ブログ、及び前身の「蔵前トラック」では何度も取り上げた「光市母子殺害事件」。昨年の4月22日に差し戻し審にて被告の元少年に死刑判決が下った。さらに懲戒請求煽動訴訟は和解はされながらも付帯控訴をしており、現在も係争中であるが一応ほとぼりが冷めたということで一寸この本について取り上げてみようと思う。 本書は昨年の春に出版されたもので、元少年を弁護する21人の弁護団の一人であった今枝仁が元少年(本書で […]

国際正義の論理

「国連安全保障理事会におかれましては、その議題について、客観性をもって、国際法の規定並びに正義及び衡平の原則に従いつつ討議をする義務があります。」(p.7より) これは国連の安全保障理事会からある国へ送られた書簡である。ある国は5年前の3月に戦争を行い、民主化というのを名をうって復興に取り組んだが、結局泥沼化に陥ってしまった国である。当然その国の大統領、及びその国の信頼は大きく失墜してしまった。も […]