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詩人

大岡信 架橋する詩人

日本を代表する詩人、大岡信(おおおかまこと)が逝去してからもう4年経つ。詩集などで数多く活躍しているだけでなく、合唱曲の作詞も手がけてきたため、音楽を行ってきた私自身としては「作詞:大岡信」というイメージが強く残っている。とりわけ印象に残った合唱曲として大岡信が作詞で手がけたものというと合唱組曲「方舟」がある。 さて、大岡信によってつくられた「詩」と人生はどのようなものだったのか、本書はそのことに […]

たそがれてゆく子さん

人は誰しも老いて、やがて死ぬ。そんな当たり前なことなのに、なかなか受け入れない、あるいは受け入れたくない人も少なからずおり、かくいう私も時折そのような感情に陥ることがある。 人として老い、そして生きていく中での「別れ」をどのようにして接していくか、生きている人それぞれに課せられた課題なのかもしれない。もっともその課題には正解がなく、なおかつ追い求めながら老いていく姿がどうしても目に浮かぶ。 ただ「 […]

臆病な詩人、街へ出る。

中学の時代から詩を始め、高校になった頃には現代詩の中でも権威ある賞の一つである「中原中也賞」を受賞するなど、賞を総なめにしてきた。そのため「早熟の天才」と言われるようにまでなった。 しかし大学へ進んだ後は著者自身「冴えない女」と自称するようになった。なぜ「冴えない」と自称したのか、そこには、 就活経験ゼロ、恋愛経験も未熟。残されていたのは、世間知らずで平凡な「冴えない女」だったp.3より とある。 […]

歌え、翔べない鳥たちよ ―マヤ・アンジェロウ自伝―

本書の著者はアメリカの詩人・歌手であり、戦後にはマーティン・ルーサー・キング・ジュニアとともに公民権運動にも参加したほどである。ちなみに本書は著者は51歳にあたる1979年に上梓された自伝である。 詩や歌に対する思いのみならず、第二次世界大戦や人種差別の中で生き抜いていただけに、その中での苦しい体験が克明に綴られている。しかも「籠の中の鳥」の比喩をふんだんに利用しているほどである。自伝の中でも先述 […]

中原中也――沈黙の音楽

日本を代表する歌人でもあり、詩人であった中原中也は作品自体は寡作でありながらも、一つ一つが印象が強く、今もなお読み継がれている。その詩はあたかも音楽が奏でられているような感触がある。その詩は中原中也が生きていた時代、そして逝去した後にどのようにして語り継がれたのか、そのことを取り上げている。 第一章「無限の前に腕を振る」 詩の世界は無限であるのだが、その無限はいかにして醸成されていったのか、そのこ […]

詩を書くということ

今となっては作詞界の重鎮として名を馳せている谷川俊太郎氏だが彼はどのような人生を歩み、詩の世界と出会い、そして現在まで生きてきたのか。その足跡について2010年に「100年インタビュー」という番組にて放送された対談を行った一冊である。 第一章「詩との出会い」 谷川氏は詩を書き始めて60年以上経つが、元々書き始めたきっかけは高校生の頃に雑誌を出すために詩を書き始めたのがきっかけである。それから詩の魅 […]

夏がくれば思い出す―評伝 中田喜直

春が過ぎ、もうすぐ梅雨の時期が始まる。その梅雨の時期が過ぎれば厳しい夏である。 夏というと子供たちは少し長い夏休みである。 本書のタイトルに覚えがあるだろうか。誰もが一度は口ずさんだ歌詞。 そう、「夏の思い出」である。 この作曲者はというと中田喜直。数多くの歌を作曲した作曲家である。特に合唱に携わった人であれば何度もこの方の曲を歌っただろう。この方を名を知らなくても「ちいさい秋見つけた」や「めだか […]