TAG

青弓社ライブラリー

多様な子どもの近代 稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち

「子ども」の扱いはもちろんのこと、境遇も時代と共に変わっていく。かつては丁稚奉公といったもので、学校での勉強をせずに働きに出て、社会そのものを学ぶと言ったことがあった。そのため働くこと以外での知識がなく、文字も読めないといった人も少なくなかった。 やがて時代は変わっていき、子どもを取り巻く環境も変わってきた。本書はその子どもにまつわる「近代史」を取り上げている。 第1章「「稼ぐ子ども」をめぐるポリ […]

総中流の始まり 団地と生活時間の戦後史

日本が高度経済成長期の時によく言われた言葉として「一億総中流」という言葉が多く取り上げられた。具体的にいつ頃からできたかというと、1965年とあるため、今から55年前のことである。それから完全に定着したのが70年代にかけてとも言われている。 やがてバブルが崩壊し、「失われた10年ないし20年」となった時に、「格差」と言う言葉が生まれ、やがては「下流」という言葉も生まれるようになった。ところが先日の […]

ネット右翼とは何か

そもそも「ネット右翼」と言うことばができはじめたのは、私の記憶では12年ほど前である。保守を標榜し、憲法改正を推進し、中韓の批判を行うなどが中心であった。もっとも私自身も当時はその一人であり、当ブログの初期の時はやたらに中韓批判、さらには左派批判を繰り返したほどである。今となってはあくまで書評中心であるため、ネット右翼から脱却はある程度している。 私事はさておき、ネット右翼の存在はインターネットに […]

死刑執行人の日本史―歴史社会学からの接近

日本の刑法上、死刑は存在しており、年に何回かは死刑執行が行われる。ちなみに死刑執行の最終承認者は法務大臣であり、そのサインでもって死刑が執行されるという。そのサインをしたことにより、ニュースになることがあり、そのたびに死刑廃止論者が批判をするというお決まりのパターンになってしまっている現状にある。 しかし死刑の歴史は太古にまでさかのぼる。それも死刑と言っても今のように絞首刑や毒殺刑だけではなく、八 […]

子どもと貧困の戦後史

「貧困」は長きにわたる歴史の中で自然に存在したことである。それは身分もあれば、災害や戦争といった大きなことから、ひょんなことで貧困に陥ってしまうような事例も存在する。その中でも本書は「子ども」にフォーカスを当てて、戦後間もない時から子どもはどのような貧困があったのか、そのことについて取り上げている。 第1章「社会調査データからみる子どもの貧困の戦後史」 子どもと貧困は戦後の歴史から見るとけっこう存 […]

健康優良児とその時代―健康というメディア・イベント

健康優良児とは、 身長・体重が平均以上で、学習成績・運動能力共に優れ、性格明朗な青少年として、朝日新聞社・文部省・都道府県教育委員会の合同で表彰された者を指すWikipediaより とある。情報源によると戦前から行われており、毎年文化の日に表彰されたのだが、批判が高まったことにより1996年に完全廃止となってしまった。 制度自体、廃止はされたものの、健康を目指そうとする風潮は子供から大人まで幅広く […]

男性学の新展開

当ブログでは今まで何回か「フェミニズム」や「女性学」について論じてきたのだが、今回は「女性学」と相対する「男性学」について取り上げて行こうと思う。そもそも「男性学」と呼ばれる学問が展開されたのは1980年代後半から、それ以前にフェミニズム論議が隆盛を極めたことによる対抗として成り立った。「男性学」という学問が生まれてから何冊か本も出ており、「ウーマン・リブ」ならぬ「メンズ・リブ運動」も起こったのだ […]

海辺の恋と日本人~ひと夏の物語と近代

海というと、夏の海水浴を連想する人も多い、中には各種サーフィンなどマリンスポーツを連想する人もいることだろう。取り分けマリンスポーツの中には冬でも行っているものもあり、私の住んでいる近くの由比ヶ浜に行くと、砂浜を歩く人、あるいはサーフィンをする人もよく見かける。 日本人と「海」は多くの歴史があり、それにまつわる物語も多い。本書は海と日本人の物語作品の変遷を追っている。 第1章「物語の発生―夏の海辺 […]