新しい中国古い大国

本書は中国のこと、細かくいえば歴史、文化、政治観、料理や嗜好などについて事細かく書かれている。ここのところは申し分ないほどよくできていた。中国はどのように政治観の根幹を気付きどのように文化、料理、嗜好品が形成されていたのかというのが非常にわかりやすく書かれているので、中国に興味のある方、中国文化について勉強を始めたい方々にはもってこいである。

さて、歴史認識についての話に移る。約20ページしか書かれていなかったところは不満ではあるものの、新書ありそれだけページ数という制約があるので仕方がない。著者が言うにはお互いの国を知らなさすぎるということ、そして隣人同士もっと交流を深めなさいというのが根幹にあるようだ。確かに前者はそうである。

日本の文化や中国文化がお互いに流れてきているところから浸透しきっていると言ったらそうではない。まだまだ中国人にはわからない日本がある、日本人にもわからない中国がある。お互いもっと知るべき所がある。逆に後者の主張は私は相容れられないと思う。確かにお互い隣人を愛することは重要ではある(隣人愛)。

しかし、隣国間と考えるとそのようにはいかないというのが現実であろう。げんに日本や中国とのいがみ合いや日本や韓国のいがみ合いに始まったことではない。アジアでもヨーロッパでもそれぞれが隣国といがみ合っていることが多い。それを考えると隣人愛(というより隣国愛)をしろと言われると非常に難しいところがある。

しかし福田総理は中国と仲がいいといわれるかもしれないが、それは本人のエゴであり、むしろ親中というよりも媚中であると私は思う。なんせパンダを貸してくれと言われて1億円でOKしたくらいだから。