核爆発災害

最近ではそれほど騒がれてはいないものの、昨年(一昨年?)の7月に北朝鮮が核実験を行ったという報道があった。失敗したという説が有力である。

さて、本書では核爆弾の恐ろしさについて、広島・長崎に投下された原爆による被害、そして第五福竜丸が「死の灰」によって被害にあったビキニ島の核水爆実験を中心に科学的見地から書かれている。第三章までは科学的な事柄が多いので雑学的に見ていけばいいかもしれないが、重要になるべきなのは第四章と第五章である。

第四章では日本ではNPTに加盟していること、そして世界で唯一核爆弾の被害に遭っていることを念頭に核についての議論が忌み嫌われている。非核三原則では「つくらず・持たず・持ち込ませず」というのではあるが暗黙の+αとして「議論せず」というのが盛り込まれているように思えてならない。核のリスクと惨状を踏まえた上での保持の議論は私は行うべきである。

第五章ではもしも核の被害に遭ったらという被害のシミュレーションと対策に関して書かれているが、これこそ核に関する文献の中で出てほしかったものである。多くの文献では核の恐ろしさや科学的構造についてしか書かれていないものが多かったが本書が最もいい要素はここではないだろうか。