石破茂の国防

本書は著者が防衛庁長官での経験をもとにいま日本はどうあるべきかをつづった半自伝的1冊である。石破氏は現在防衛大臣についており国防に尽力されている。著者が防衛庁長官のときには9.11の後、アメリカのアフガン侵攻、そしてイラク戦争と世界的にも混とんとした状況下で国防に際して尽力した。そういう機会に恵まれたからでこそ著者は防衛大臣としてふさわしいのではないだろうか。

イラクへの人道支援の判断と自衛隊の在り方について著者なりの解釈が非常に印象深かった。自衛隊は軍隊であるともいう人がいるが、確かに国防上そうであるべきだと思う。しかし憲法9条で軍隊になることは許されていない。当然集団的自衛権は憲法違反になってしまう。では自衛隊の意義はというと現時点では防衛隊というよりも災害派遣隊というべきか。

軍隊として動くよりも災害や戦禍に対してどこまで支援を行えるのかというのが今の自衛隊に際しての大きな課題となっているのではなかろうか。阪神淡路大震災での失敗もあれば、台湾大地震での貢献、さらにはイラク戦争での人道支援、これは憲法9条に抵触はされず、むしろ日本としての立場を見た国際貢献の在り方そのものではなかろうか。