英語より日本語を学べ

表題を見るにまさにその通りと言っていい。本書は国語教育のスペシャリストである斎藤孝氏、日本の国語教育を憂う論客竹村健一氏の共著である。

第1章では読書について書かれており、現在日本では読書を推進する法律まであることを憂いている。私は大学生活の後半で堰を切ったように本を読むようになり、社会人になった今となっては1日に数冊読むようになった。読書を奨励するのはいいが、無理やりというものではなく読書の良さと魅力を伝えることができたら日本はもっと読書国家になるのではないかというのがこの章の本懐と言えよう。

そして特筆だったのは第5章のコミュニケーション能力。日本人というのは語彙が非常に豊富であるので、非常に勤勉性はあるが、会話する習性がなくしっかりとした日本語と話す機会というのが少ない。日本の教育にはディベートする機会が少ない。正しい日本語を学ぶべきということをいろいろな論客が同じことを言うが、正しい日本語を話す練習を行えば自ずと上達するという。

とある番組にて斎藤教授のゼミではそれを毎回短い時間ながらやるが、上達が見えるようになったという。もしもそれが本当であれば日本語教育というのは読み書きだけではなくしゃべる教育を週に1回行えばいいと考える。むしろゆとり教育の本当の狙いというのはディベートによる教育をやるということではなかろうか。先日のある討論番組でもある話題について2日間にわたってディベート行うということを行っていることを聞いた。

ちなみに最初は些細なものをディベートを行うが、卒業する時期には性教育や憲法といった重い話題でも積極的にディベートを行うことができるという。日本人は討論する力というのは諸外国に比べて弱いという。日本の国語教育はまだまだ進化するがこういった教育も日本語教育の一つではなかろうか。