「東京裁判」を裁判する

パール判事の本を3冊読んだせいか、東京裁判についての本をもっと詳しく読みたくなってきた。本書はこの東京裁判について批判をする1冊である。しかし、ごくごく基本的なことが書かれているので本書は東京裁判についての入門書と東京裁判の批判点の中でも基本的なものを紹介しているというくらいである。だが戦争を知らない我々の世代は当然東京裁判とは何たるのかを知らない。

戦前の時代は軍が日本の政府を支配してきた、軍の暴走により大東亜戦争となりそれが今日の韓国・中国等の批判にさらされてきた悪の戦争だというイメージをもたれる人が強い。しかしそうではない。もともと大東亜戦争を始める前もアメリカと戦っていた時がある(例えばビルマでの空中線がそう)。

戦争までにっちもさっちもいかない状態で軍部が当然政治権力を掌握したいということが大きかった。当然軍人の中で小磯国昭や東条英機と言った人が首相になった時もある。しかし彼らは好戦的ではなかった。むしろ戦争に流れていったのは諸外国でありそれに連なって国民が開戦論を唱え始めたにすぎない。

昭和天皇を始め首相、閣僚は死に物狂いで戦争回避を模索してきたのである。しかし「ハル・ノート」により戦争もやむなしとなってしまった。それ以後については大東亜戦争に関する本で詳しく紹介するのでここでは割愛させていただく。戦後63年になる今、改めて戦争の意義について全・悪双方の議論をなされるべきではないだろうか。