なぜケータイ小説は売れるのか

ケータイ小説は5年前に知ったがこれほど売れるものだとは思わなかった。当時はYoshiの「Deep Love」シリーズが大人気であり特に第1章の「アユの物語」や第2章「ホスト」を読んでいる女子をよく見ている。ちなみにこのときは国語の時間に数分だけ「読書の時間」があった。その時に何を読もうかで迷ったが。大概私は文庫か新書くらいだったのでそれには興味もわかなかった(5年たってもそんなんです)。

著者はケータイ小説が売れる理由を3つに分けて説明している(あとがきより)。
1.「私の物語」を書いてみたいという欲求
2.既存の文学などの心的な乖離
3.ネットなどインフラの整備

まず1.については時代の流れというものがあってのことであろう。ただしそれは2.でも一部言え、3.も言える。しかし「書いてみたい」ということはこれまでに機会はあったものの、これだけ身近になったことはほとんどない。それに賞をもらえなくても自分の作品を自由に書け、そのうえ公開ができ、誰でも簡単に読めるようになった。これを考えると作品の個性化が目立つようになり当人の願望がそのまま作品に表れるようになる。その欲求を満たしてくれるのがこの小説ではなかろうか。そう考えるとケータイ小説の書籍化の余波により、既成の小説は売れなくなったとも言える。

それに限らず出版社が声高に「活字離れ」を叫んでいるように、新刊の総販売部数が右肩下がりになっていることも事実である。さらに1ページあたりの文字数も減少しているだけではなく、語彙も難しい表現から割と簡単に読めるようにやさしい表現になっている。このことから「語彙の不足」というのが顕著ではないのかと思う。「活字離れ」については私はまやかしであると断言するが、2.や「語彙の簡素化」による「語彙の不足」については否めないと私は思う。