ビジネス力の磨き方

本書はビジネス力を磨く方法について書かれている。ビジネス力というのは漠然としているが、「先見力」「突破力」「影響力」「仕事力」「人間力」を総合した力がこの「ビジネス力」であるという。

「先見力」
先見力は勘やひらめきではなく様々な情報を駆使してどのようなのかということを見る力のことを言う。

「突破力」
自分が持っている成長に向けての大きな障壁を破る力

「影響力」
権力に擦り寄らず、自分が権力を集める力

「仕事力」
スピード、正確性、情報収集・駆使力を集約した力

「人間力」
セルフ・マネジメント、タイム・マネジメントというべきだろう。

本書に書かれている私なりの解釈ではこうだった。さてちょっと本書の言いたいこととはずれるが気になったことが書かれていた。第2章において北海道でのサマータイム制導入について、および北方領土問題である。まずサマータイムであるが著者の意見は正しい。北海道は東京以西と違って夏は午前3時あたりから明るくなりはじめ午後7時に暗くなる。

当然明るい時に仕事を行うことにこしたことはないので北海道は1〜2時間早めると当然市場をリードでき、当然停滞状態にあった北海道経済の活性化にもつながる。しかしそれについて北海道知事の鶴の一声がなかったことで挫折してしまった。ちなみに本書で言う「当時の北海道知事」は現在の知事である(北海道民であればわかるだろう)。

もう一つは北方領土問題。これもやはり外交政策がネックとなっているが、後ろ向きになっているとしか言いようがない。むしろ元島民の現状を知っているのかと外務官僚に問い詰めたくもなる。島民の働きかけという著者の意見よりもむしろ外務官僚がどれだけ本気で解決しようとしているのかという疑いを持つ。

ちなみに著者は二島返還でもいいという意見であるが、これは鳩山一郎内閣において重光葵外相の時にソ連との交渉の時の妥協案として出たものである。しかし日本政府はこれについて妥協を許さず交渉は決裂となってしまった。これ以降約60年もの間一括返還は近づいていない…と言いたいところだがロシアのエリツィン政権の最後の時に四島一括返還が現実味を帯びてきたことがあった。しかし外務省はそれについてどこ吹く風の状態だったので結局これも流れてしまったという経緯がある。つまり外務官僚の突破力ではなかろうかと私は思う。