弾言 成功する人生とバランスシートの使い方

本書はアルファブロガーでおなじみの小飼弾氏の新刊で小飼氏が得てきた知恵とスキルの得方の成功術を書いた1冊である。

本書はヒト・モノ・カネの3つに分かれているがヒトについてはさらに2つに分けられている。それぞれについて弾言を述べている。

まずは第1章。ワーキングプアについて論じているがこれについては少し異論がある。ワーキングプアは自分の時間を安売りしていると書かれているが、お金をもうけるのに自分の時間を回すことができるのかというと難しいところがある。とはいえ考える時間がなくなるほど働かなければならない現実というのも何とかしなければならない。さてここで注目の弾言を一つ、

「多くの人が金持ちを目指すことは、社会全体を健全にする」

これは両義的な解釈ができる。というのはまず全員がお金持ちを目指す。地位や名誉を目指して高みを望むということは当然意識的な向上に役立つことが可能である。当然それによって日本経済の活性化にもつながる。しかし逆に「お金持ちを目指すこと=社会の健全化」と邪推かもしれないが個人主義的に見えてしまうのは否めない。自分が金持ちにさえよければということになってしまうと日本全体が自己中心的、または欺瞞に満ちた国になってしまうのではないだろうか。

そして1章の最後には「ブログは最強の最強ツール」と題しているところはあるがこれはまさにその通りといってもいい。ブログの投稿に対して批判的な記事も中にはある。おそらくこれ自体は言論の自由の公序良俗に関することかもしれない。でもものは使いようでブログをアウトプットの道具として使えばこれ以上ないものになる。さらに投稿ボタンを押しただけで全世界に流れるわけであるから当然それに対するコメントも返されるので「インプット」「アウトプット」の両方の観点から見ても非常にいい道具である。

第2章はカネである。前半の部分は逆説的なバランスシートの読み方のようで面白かった。後半は打って変わって気になるところがいくつかある。まずは「少子高齢化」であるが、ここで弾言。

「世界人口は、間もなく減少に向かい始める」

国連の人口予測を参照しながら書かれているが、もう一つ要因がある。それは「食料問題の深刻化」の観点から見ても言えるのではないかと私は思う。まだ私の所にはデータはない者の食糧危機に関する文献は多い。食糧危機というのは深刻化しておりそれにより餓死者が急激に増加し、世界の人口減少に拍車をかけるという構図になる。そうなるとこの弾言はほぼ確証といってもいいのではと私は思う。

第3章はヒトの第2弾である。これは著者自身の中国に関する体験談について「カネをよく理解している中国人」と題して書かれている。もともと中国という国の量刑裁判というのは賄賂次第ということがあげられるがそれの関連性というのが少し気になるところである。金をもうけることがうまいのだろうか、それとも金に汚いのかというのも考えられる。

第4章はモノである。ここで言うモノというのは「資源」であるがここで弾言。

「文明崩壊は資源枯渇によって起こる」

簡単にでは日本はもうダメだなという解釈にもなる。

それともうひとつ「太陽エネルギーの効率利用」について書かれていたが私自身もこれについてはやったほうがいいと思っている。現にそれについては日本が最も進んでいるためこれについてイニシアチブをとればまだまだ日本は環境対策に関してリードできる要因が作れるのである。しかし太陽エネルギーは物価高の影響は受けていないにしてもまだまだコストがかかるというのが実情である。しかしずっと使えばコストパフォーマンスによって相殺される。もっと言えば最大の利益を生み出すのではないかと思えてならない。

本書についての率直な感想ではあるが、半分共感できて半分疑問に思えた。最後の結論もここまできてのことがすべて洗いざらい流れたような感じもした。弾言は共感できる内容が多かったもののそれについて、では本当に成功できるのか、そして著者が言いたい主張は何なのかが見えてこなかった。ただ結論は見えてこない、問いかけであるとするならば1つのヒントとしてとらえてこれからどう本書を役に立たせるかという課題となった1冊であったと私は思う。