団地が死んでいく

高度経済成長期に多くの団地ができた。しかし経済の飽和化によって団地はなくなりはじめやがて団地でつくられたコミュニティ精神も薄弱化しつつある現在、団地再生のカギはどこにあるのかについて書かれているのが本書である。

そもそもなぜ団地がつくられたのかというと戦後間もない時に住まいが確保できないことから比較的安い家賃で入居できること、そして公営であるためつぶれる心配はほとんどないという所から団地に入居したいという人が殺到した。その重要により高度経済成長期、及びバブルの時には公営住宅が乱立していった。しかし経済が減速し始めたころ団地にはかつてのような盛況がなくむしろ入居者も減速し、誰もいない公営住宅も見られるようになった。

公営住宅にはコミュニティの育成もさることながら孤独死になる老人が減るという効果もあった。そう考えると今老人の孤独死が増えている原因は前述のとおりのコミュニティ精神の薄弱化が要因に挙げられる。もっと言うと暴走老人の増加もまた然り。

衰退の一途をたどっている団地ではあるがただでは転ばないのが団地というすごさ。ありとあらゆる手法で再生し、「驚きの施設」とまで言うほどの団地もある。その団地には家族用、独身者用、店舗用などに分けられているだけに飽き足らずその中に娯楽室や児童遊園、集会所、浴場まで完備しているという。様々な工夫を凝らしているようである。さらに「老人の孤独死を守れ」キャンペーンや工夫なども凝らしており、日本人の半数は集合住宅に住んでいることでもはや他人事ではなくなった。これからは団地という概念だけではなく集合住宅でどのように協力していけばいいのかも考えるべきである。